第13章 烏野vs青葉城西 ②
ボールはなかなか落ちない。
囮、ブロック、スパイク、とにかく選手たちが跳ぶ。
「長いラリーが続く程しんどくて辛くなる。
ぶっちゃけサボりたくもなるしな。酸欠になった頭でよく思ったよ
”ボールよ早く落ちろ”って」
「持って来ォォオい!!!」
日向くんが力強い声でボールを呼ぶ
「サボるなんて一切頭にないやつもいるな」
ずっと動き回って、もしかしたら誰よりも苦しいはずなのに・・・。
烏野は徐々に青葉城西に追い詰められていく。
何か・・・流れを変える”何か”がほしいところ。
「・・オイ嶋田アレ・・・」
「忠が・・ピンチサーバー!?」
「山口くんが出てきた!」
嶋田さんからジャンプフローターサーブを教えてもらってる、って月島くんが言ってた。部活のサーブ練習の時も黙々と練習しているのを見てる。
「(同じ1年生がみんなコートに立っている。すごいな・・・私も同じ場所に立ちたいな)」
ギュッと手すりを握りしめる。
「(入れ!)」
山口くんのサーブはネットを越えなかった
「失敗したけど、でも忠個人にとって今ここで悔しさと自分の無知さを知るチャンスがあることが絶対にアイツを強くする」
「・・・山口くんのサーブから烏野の空気が変わった気がします」
先にマッチポイントを迎えた青葉城西だが、烏野も食らいつく。
「デュースだ!ここからは先に2点差つけたほうが勝ちだよ」
日向くんが打てば、向こうのリベロがボールを上げる。片方が点を取れば、もう片方が取り返す。
ついに30点を超えた。
チャンスボールを青葉城西の13番が決める。
「(ーー3年間一緒のチームだった。けど試合中に普通に笑う国見を今日初めて見た。アンタみたいなセッターにどう太刀打ちすれば・・・)」
「影山くん!おいまさかビビってんのか。ダッセー」
日向の顔を片手で鷲掴みにする影山。
「大王様が凄いのなんて当然だろ!」
「影山くん!迷うなー!」
2階席から一ノ瀬の声が響く。
「烏野は”ちゃんと皆強い”・・・」
一ノ瀬の方を見上げたあと日向に視線を戻す。
その顔はいつもの冷静さを取り戻した表情。
「いくぞ」
「オウ!」
青葉城西のマッチポイント、西谷先輩が上げたボールを影山くんが日向くんに託した!
日向くんのスパイクはドシャットで止められる。
セットカウント2-1 青葉城西が勝利する
