• テキストサイズ

約束の景色

第13章 烏野vs青葉城西 ②


烏野高校はインターハイ宮城県予選を3回戦で敗退した。
試合後、整列して挨拶する烏野の選手たちにずっと隣で解説を聞いてくれた女の子たちも拍手を送ってくれた。
敗戦に浸っている暇もなく、コートには次の試合のウォームアップを始める選手たちが駆け込んでくる。

ミーティング後、烏養コーチから一言
「よし、じゃあ飯食いに行くぞ。もちろんオゴリだ」

開店前の居酒屋さんの座敷にずらりと並べられたご飯。どれも湯気が立ちのぼっていて出来立てなのが分かる。
「走ったりとか、跳んだりとか、筋肉に負荷かかれば筋繊維が切れる。
試合後の今なんてブッチブチだ。それを飯食って修復する。そうやって筋肉がつく」
真っすぐに全員を見つめた
「そうやって強くなる」
静かな店内でおばちゃんがお皿を準備するカチャっという音だけが聞こえる。
「だから食え。ちゃんとした飯をな」
「いただきます」
「「「いただきます」」」
澤村先輩の声に続いてみんながご飯を食べ始める。
強くなりたい。私も、もっと強くなりたい・・・

翌日、今日はインハイ予選3日目最終日。
まだ気持ちがフワフワしてて感情の処理が追いついてない。授業中も
ノートを見つめてボンヤリとしていた。
昼休み、体育館横の自販機に飲み物を買いに行く。
「(あれ・・?)」
聞こえてくるのはボールの音。今は昼休みだから体育じゃないよね?
チラッと入り口に視線を向けると日向くんがすごい勢いで駆け込んでいったのが見えた。
そっと入り口に近づく。影山くんと日向くんの後姿が見えた。
「くそったらァァア」
「くそがあぁああ」
二人が大声で叫びながら体育館の中を走り回る。

「・・・勝ちてえ」
「・・俺はもう謝んねえ・・。謝んなきゃいけないようなトスは上げねえ・・・!」
「止まってる暇ない」

悔しそうなその声に胸をえぐられたような気がした。
ギュッと唇を噛み締める。
私にもっと出来ることあるんじゃない?
圧倒的に足りないものだらけの私が今できる事・・・
「(1試合でも多く試合を見て勉強する!)」

向かう場所はもう決まっていた。
目指すは青葉城西と白鳥沢学園の試合が行われる仙台市体育館!
/ 307ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp