第1章 2人との出会い
翌日の昼休み
自販機に飲み物を買いに行くと、練習している日向くんを見つけた。
一緒に練習している相手は昨日の影山くんではない。
「あ!一ノ瀬さん。」こちらに気づいて声をかけてくれた。
「昼休みも練習してるの?すごいね」
「おれ、まだ下手くそだから・・。菅原さんに練習付き合ってもらってるんだ!」
この子、一ノ瀬さんです。昨日おれたちの練習に遅くまで付き合ってくれて、と説明していた。菅原さんと呼ばれた男の人は
「俺、バレー部3年の菅原です。」
笑顔で挨拶してくれた。優しそうな先輩だな。
「1年の一ノ瀬みなです!」
そこから二人の練習を見ていた。
段々と汗だくになっていくので飲み物を差し入れする。
「俺にまでごめんね。ありがとう」日向くんと並んでスポーツドリンクをゴクゴク飲んでいく。
「日向さ、明日から俺がトスあげたろーか?」
菅原先輩の一言で日向くんの顔がパァ!っと明るくなる。
「おれ中学の時、3年になるまで部員いなくて・・・いつもバスケ部の友達に上げてもらってました・・」
日向くんの中学時代の話を聞く
「(今まで部活って、メンバーが、環境が揃っていることが当たり前だと思っていた・・・。
そうか、これって当たり前の事じゃないんだ。
日向くんはボールに、トスに、仲間に飢えてるんだな。
すごいな。そんなに夢中になれるもの持っているなんて。)」
この人がこれほど夢中になる景色はどんな景色なんだろう?と、ちょっと気になった。
「でも菅原さんにトス上げてもらったら・・なんか・・負けた気がするっていうか・・」
日向くんはどうしても影山くんに認めてもらいたいみたい。色々複雑な関係なのかな。