第9章 インハイ 予選
「「「すげぇ・・・」」」」
声を出す部員たちを澤村先輩が止めた
「いや、まだだ。多分まだ終わってない」
二人で小さくせぇーの、と言った後
「「頑張れ!」」と叫ぶ
「「「・・・」」」
3年、2年が固まったかと思えば次の瞬間大粒の涙を流す
「やるぞお前ら!1回戦絶対勝つぞ!!!」
「「「うおおおス!!!」」」
頑張ったマネージャー二人に澤村先輩から肉まんがプレゼントされることになった。みんなで坂ノ下商店へ向かう。
「あれ横断幕ってやつだろ?カッコいいよな!こう、グワァー!!って
力がみなぎってくる気がしない?”強豪”って感じするし!」
まだ興奮が冷めない日向くん
「もう分かったって。お前のその感想、何回も聞いた」
「何回だって聞けよ!影山のとこは強かったからあーいうのあったんだろうけど、おれの中学にはなかったし・・・感動が違うの!」
こんなに喜んでもらえるなんて。頑張って本当に良かったな
「私はコートに立てないし、一緒に戦えないから。
これくらいしか出来ないけど・・・少しでもみんなの力になれるように、明日は一生懸命応援するね!」
「これくらい?あんなカッコいい横断幕見せてくれたじゃん。清水先輩と頑張ってくれたんでしょ?」
日向くんが不思議そうな顔で立ち止まる。
「おれは自分の事ですぐいっぱいいっぱいになるけど・・・
一ノ瀬はおれたちみんなの為にいつも動いてくれてて、凄いなって思ってるよ!」
「一ノ瀬がこれだけ頑張ってくれたんだから、次は俺たちの番だ」
影山くんもこっちを見て立ち止まった。
「それにコートでも、ベンチでも、観客席でも、居る場所がどこだって
”一緒に戦ってる仲間”ってことに変わりない!」
そう言った日向くんの横で影山くんが何度もうなずく。
自分は選手じゃないから点取れないし、試合中は何も出来なくて・・・皆と違うってずっと思ってた。でも・・・
「(私もみんなと一緒に戦えるんだ)」
パチンっと両頬を叩いて気合を入れ、泣きそうになるのを必死に堪える
「二人ともありがとう!」
3人で円陣を組み「明日頑張るぞ!」って声を上げたら、
「お前ら何時だと思ってるんだ!近所迷惑!!」
お店から出てきた烏養コーチに怒られた
明日からついにインハイ予選が始まる。
第一試合の対戦相手は常波高校
まずは目の前の試合に勝つことを目指す!