第8章 運動部 壮行式
「私もみなちゃんの笑顔大好きだよ」
「え?」
大好きな先輩にそんなこと言われるなんて。幸せな気持ちで清水先輩を見た瞬間を撮られた。
「ほら見て!嬉しそうに笑った時のみなちゃんの笑顔本当に素敵なの」
きっともの凄くニヤけた顔をしてたと思う。とてもじゃないけど恥ずかしくて見れない。
「龍・・なんだあの幸せな空間は。女神達がお互いを撮りあってるぞ」
「ノヤっさん・・・俺もう眩しくて見てらんねぇよ」
「分かるぞぉー!あとであの写真貰おう!」
「おう!!」
「でも他の人にはこんな可愛い写真見せたくないから、私たちだけの秘密ね?」
「はい!絶対見せません!」
清水先輩の写真はちゃんと守らないと!
二人で指切りしていたのを遠くで見ていた田中達は仏顔になっていた。
3日目、4日目ともなると徐々に慣れ、カメラを向けても意識しなくなった。
練習風景、試合の風景、談笑しているところなど自分が良さそうだと思った瞬間はとにかくシャッターを切る。そこからよく撮れた写真をピックアップしていった。
毎日カメラを学校に持っていくので自然と荷物は多くなる。クラスの友達はあまりに大荷物な私を見て「今日はどの山登るの?」と笑っていた。(武田先生にカメラ持ち込む許可は貰った)
部活終わりは帰り道が一緒になる月島くん、山口くんがさっと荷物を持ってくれる。
「これ一眼カメラでしょ?毎日こんな重たいの持って登校するの大変だよね。よさそうな写真撮れた?」
「なんとか・・。ちょっとずついいの増えてきた気がする!」
「もっと気楽にやって大丈夫デショ。どうせ壮行式でチラっと出すだけなんだし。日向たちの変な写真でも使っとけば?」
「ふふっ、それも面白そうかもね」
その日撮った写真を見てもらい、どれがいいかと帰り道に相談するのが日課になっていた。
最終日の今日、昼休みに清水先輩と明日使う写真の最終選定をする。
授業が早く終わったのでお弁当と荷物を持って3年生の階に向かった。
「これ、運動部壮行式のプログラムね。バレー部は5番目だって。
澤村は主将挨拶考えた?私は何喋るかまだ決まってなくて」
女子バレーボール部主将の道宮が話しかける。
「うちは後輩が部活の風景を写真に撮ってくれて、それ見せながら喋ろうかなって」
「へぇ。面白そう!」