第7章 GW合宿 カラスvsネコ
隣で真剣に試合を見つめる少女を見て猫又監督は思う。
「(まいったな。前向きな姿勢が気に入ってつい指導しちまう。
よそ様の生徒なのに。一生懸命でまっすぐで時々空回ってて。
俺たち年寄りはこういうのに弱いんだよ・・・。
つい世話焼きたくなっちまうな。
それに・・・そう思ってるのは俺だけじゃねぇみたいだしな?
うちの連中も普段は見せたことない顔が出てきてるし、あの研磨ですら自ら人と関わろうとしてる。
“何かやらなきゃ“ってこっちの心を動かす何かを持ってるやつはそうそういない。うちのマネージャーに欲しいくらいだなぁ)」
「(反対側から見ると日向くんはこんな感じなのか・・。どこにいつ飛んでくるのか本当にわからない)」
最初は決まっていた烏野の攻撃。
でも1回目のタイムアウトから音駒はちょっとずつ日向くんの動きについてきている。
ついに犬岡くんに捕まった。そこから何度も止められる
「(日向くんは諦めない。何度だって挑戦して絶対に壁を乗り越える!)」
今まで何度も見てきたから
「気力を挫く”人の壁”、打てば打っただけ心は折れて・・・」
「まだです!日向くんは簡単に折れない」
そう言って日向くんを見る
「(笑ってる・・?)」
周りのみんなが日向くんの顔を見て表情が変わったのが分かる。近くにいた影山くんでさえも。
ずっと目をつぶって打っていたスパイクだけど、犬岡くんを避けようと、今はちゃんと自分でボールを見て打とうとしてる。
でも、なかなか影山くんのトスに合わない。
「(頑張れ!頑張れ!)」
拳を痛いくらいぎゅっと握る。
黒尾さんの攻撃に、研磨くんのツーアタック。
ついに音駒のマッチポイント
「強いスパイクを打てるほうが勝つんじゃないんだ。ボールを落としたほうが負けるんだ。これが”繋ぐ”ということだ」