第77章 春高2回戦　　vs稲荷崎高校③【目印】

ここで西谷先輩に代わり、日向くんがコートに戻ってきた。
「治さんにマンツーマン！？」
確かコミット・ブロックってやつかな？
他の前衛の人たちとは違って、ピッタリと治さんの動きに合わせて動き回る。
音駒と試合する時の犬岡くんのように。
「(どこへ跳んでもしっかり付いていってる)」
でも治さんの攻撃が決まって稲荷崎の点が入った
「(大丈夫！次こそは・・！)」
緊張しながらコートを見守る。


「(くそっ！)」
なかなか宮治を止められない
「サボんなや！サム！」
「！　サボってへんし」
ネットの向こう側で双子が言い合う
「打ったら決まるんやからキバれや！それともあの小っこいブロック怖いんか！」
「怖いワケあるかい」
「！！　マジっスか！」
「！？　お、おう」
思わず声が出た。双子がびっくりした顔でこっちを見る
「(怖くないのか・・・。1枚ぽっちだからか？？)」
次は影山のサーブ。こっちに来ることはないだろうけど・・・後頭部に手を当てる。
「(どんなブロックだったら？１対1で一番嫌だったブロックは誰だ？)」
音駒、伊達工、白鳥沢・・・今まで戦ってきた相手が頭の中をぐるぐる回る
「あっ」
頭に浮かんだのは青葉城西のあの人！1対1でイチバン嫌だったブロック
ここでやってみるしかない！
「日向くんならできるよ！！！」
力強い声に背中を押される
「(クロス・・・締める！)」


稲荷崎の攻撃
ボールが上がった先にいるのは・・・治さんだ！
同じように日向くんも跳んだ。
「！」
多分・・・いまコースを塞いだ？
相手の打つコースを誘導させたような気がする！
ボールは西谷先輩の正面に飛んでいき、綺麗に上げた。
「西谷先輩ナイスレシーブ！日向くんもナイス！！」
今のブロックは日向くん1枚だった。それでも相手に負けてなかった！！
「(すごいよ！すごいよ日向くん！)」
稲荷崎に追いついた！負けてない。点差も離されることなくついていってる！