第77章 春高2回戦 vs稲荷崎高校③【目印】
「あ!」
山口くんが鳥養コーチに呼ばれた!
ピンチサーバーの出番だ。
「(ここで流れを烏野に!山口くん頑張れ!)」
私も気持ちを切り替える為、さっき教えてもらったリセットの視点の場所を探す。
「(えっと、確かこっちに・・・あれ?)」
目印の非常口のマークが見当たらない?
「ウソでしょ!!?」
次の試合を控えるチームのものだろうか?荷物で隠れてしまって見えなくなってる。
「ど、どうしよう」
山口くんはまだ気づいてない。急いで向こうにいって荷物を動かしたら間に合う?
オロオロと周りを見渡した。
そうこうしてる間に山口くんの出番がやってくる
「(私が向こうに行っても間に合わない!)」
視界の端のほうで何か動いた気がした。急いでそっちの方を見る
「(フゥー。大丈夫!ひとつひとつ、いつもどおり
狙いはエース。理想は”膝をつかせる”事。あとはリセットの視点を・・あれ・・?)」
目印にしていたものが見つからない!?
一気に目の前が真っ白になる
「(落ち着け!?だ、大丈夫だ・・・何か他のものでもいい。くそ失敗した。何でもっと・・・)」
審判の笛が鳴った
時間がない・・・早くサーブ打たないと!?
「山口くんっ!!」
後ろから一ノ瀬ちゃんの声が聞こえる
「真っすぐ正面!上の方!」
その声に導かれるように視線を動かしていけば・・・
「忠ー!」
目印の近くでしまだマートの袋を掲げる嶋田さんが見えた。
見慣れたブタのマスコットキャラ
何度もあれを見てサーブの練習してきた。
「忠!」
「山口くん!」
「「いけー!!」」
嶋田さんと一ノ瀬ちゃんの声がハッキリ耳に届いた気がした。
「(何度もイメトレしてきた。二人の声援を聞きながら)」
深く息を吸い込むとさっきまでの焦りが嘘みたいに消えた。
照準を合わせる。狙うはあの場所!
「(大丈夫だ。俺も戦えるって証明しろ!)」
「サービスエース!!」
山口くんが放ったサーブを稲荷崎4番の選手がレシーブし損ねた。
「エースからサービスエースを取った!!」
山口くんすごいよ!