第73章 春高一回戦 vs椿原学園②
一番後ろに立つと周りに見えないよう、悔しそうな表情になる。
「(次は・・・きっと決まります!)」
心の中でエールを送った。
「あ!」
日向くんが飛んできたボールを体で止めた。
すかさず田中先輩がフォローに入る。
一度だけじゃない、それはもう一回。
”それに日向、かなりボールが見えてると思う”
前に月島くんがそう言ってたことを思い出す。
「(相手のこと見えてて、どこにボールがくるか分かって動いてるんだ)」
今はまだちゃんとしたレシーブではないけど・・・少しずつ修正を重ねているみたいだからもうすぐ上手く返せそうだ。
「インプットしてますね」
隣の武田先生が言った言葉にコクリとうなずいた。
飛んできたボールのファーストタッチは影山くん
「これじゃ攻撃封じられますね・・・」
「月島!」
「ハイ!」
大地先輩から声をかけられた月島くんがトスを上げた。
それはとても丁寧な、ネットから少し離した高めのトス
「(旭先輩の得意なトス!)」
ブロック3枚に対して、旭先輩がブロックを弾きとばして烏野が連続得点を重ねた。
それでも簡単に烏野に流れを渡してはくれない。
向こうがサービスエースを決めれば、こっちは旭先輩のノータッチエースで得点を取り返す。
「(!)」
影山くんのトスに月島くんが合わない!?
瞬時に手を伸ばした大地先輩が無理やりボールを相手コートに押し込んだ。
「大地先輩!ナイスフォロー!」
烏野のマッチポイント。ここでスガ先輩がコートに入る。
「(3年生が全員コートに揃った!)」
こっちがスパイクを打てば相手がボールを拾う。
椿原の選手が打ったボールはブロックに当たって大きく弾かれた。
「ブロックアウト狙ってたか!」
ボールが飛んで行った先を見れば・・・
「スガ先輩!」
見事に繋いだボールを影山くんが託した先には
「(日向くん!・・・じゃない、旭先輩だ!)」
日向くんの後ろから旭先輩が強烈なバックアタックを決めた!
セットカウント2-0
烏野高校が春高1回戦を突破した