
第73章 春高一回戦 vs椿原学園②

「2セット目最初から飛ばしてけよ!!」
「「「オォッ」」」
気合の入ったみんなにドリンクとタオルを配る
「旭先輩!ゴムが」
「ん?あぁ、試合中に切れちゃって。予備はあ・・」
旭先輩の言葉が終わらぬうちにバッグから取り出した
「よかったら使ってください!」
球技大会の時に旭先輩がくれたスポーツヘアバンド
「えっ、前にあげたやつ?」
「はい!」
「いいのか?ありがとうな。こんな縁起いいやつ借りたら・・・俺、今ならぜんぶ決められそうな気がしてきた」
差し出された手に乗せたあと、ギュッ!と先輩の手を包み込む
「へぇあっ!?」
「旭先輩の力強いスパイクで後半も点をもぎとってください!」
少しでも自分の念が伝わるように力強く握った
「旭、そんなに力が欲しいなら俺がイヤってくらい込めてやるから・・・ほら、貸せ!!」
大地先輩が腕を引っ張り力強く握る
「旭さん、俺の力も込めます・・・」
西谷先輩は旭先輩の背中に飛びついた
「バッグに替えあるって言ってたよな?じゃあこれは俺が借りるよ
髪の毛邪魔だなって思ってたし」
スガ先輩が取ろうとすると、急いで隠す
「ちょ、ちょっと!やめろよ!これ俺のだから!!」
「みんなの念がこもったから後半は大爆発ですね」
第1セットから烏野のすごさは会場中の人たちに見てもらえた!
烏養コーチが”見せることが大事”って言ってたから、第2セットでさらに攻撃力の高さを見せられたらバッチリだと思う。
その為にも、選手のみんなの変化にはすぐ気づけるよう観察しておかないと!
リラックスした空気が流れてるから、次のセットもいい状態で臨めそうだ。
「で、結局付けないのかよ!?」
「だって!せっかく借りたやつ切れたりしたら悪いだろ!?だからこれはお守りとして大事に持っとく」
「ひげちょこめ!・・・しょうがないから一ノ瀬の力貸してやるか」
「旭さん!必要なくなったら、すぐ俺が預かるんで言ってください!」
「西谷・・・多分その瞬間はこないから心配しなくて大丈夫だよ」
ハーフアップからおだんごに髪型を変えた。
のちに”サムライ”と会場内で呼ばれるようになる
2セット目がスタート
烏養コーチが木下先輩を呼ぶ。
ついに先輩もピンチサーバーとしての出番だ!
落ち着いた表情でサーブを打つがアウトになってしまう。
交代後みんなのもとに戻っていく後ろ姿に声をかけられなかった
