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約束の景色

第72章 春高一回戦  vs椿原学園①


「ありがとうございます!」
清子先輩が右手を挙げて答えた
「日向くん!」
潔子先輩の声にすぐ気づいた日向くんも駆けてきた
袋を開けて中を確認すれば、見慣れたシューズが入っている
「おれのシューズだ」
二人で潔子先輩に向かってお辞儀をした
「今なら5mくらい飛べそうな気がする!」
ピョンピョンとジャンプをする
重力なんて感じさせない跳躍力。
「最強の囮、東京体育館で見せつけちゃって!」
「オウ!」


ピィーーー!
公式ウォームアップ終了の笛の音が響いた
「・・シャオラァ!」
日向がパチン!と両ほほを叩く
「なに緊張してやがる。いつもヘラヘラしてるくせに」
「東京だぞ!小さな巨人が戦った場所だぞ!?
強いやつがいっぱい集まってきてるんだ・・・おれのこと見てるやつなんていないだろうけど」
「お前が言う小さな巨人の頃の会場は代々木のほうだろ?」
「影山くん!ハイ黙って!」
「・・・俺たちのバレー楽しみにしてるやつが一人いるぞ。お前が最高にヘタクソだった頃からずっと見てる」
そう言った影山がベンチに視線を動かした。
今日初めて、公式戦で一ノ瀬があの場所に立っている。
日向もベンチを見た。
「そうだな、心強い存在がいる・・・ってかお前!!ヘタクソって口悪い!」
「? あの頃よりは今のほうが上手いんだろ?やれるんだよな?」
影山がニヤリと笑う
「・・・当たり前だ!見てろよ!」
両チームの選手たちが一列に並んだ
「「「お願いしァース!!!」」」


春の高校バレー、烏野高校の一戦目がスタートする!
「あ!」
影山くんのトスが乱れた
「(照明・・・かな?)」
さっきの練習の時に感じたライトの眩しさ。
それとも初めての東京体育館にまだ慣れてない?
「バレーは試合中ボールがほとんど”空間”に有る競技。
空間認識能力は必要不可欠であるし、今緊張とこの初めての体育館にそれを乱されている事は間違いない」
旭先輩が上げたボールが相手コート側に飛んでいきダイレクトで叩かれた
「おそらく”空間”の影響を最も受けるのは精密を極める影山君のトスワークでしょう」
まだこの空間に慣れてない烏野を椿原学園が一気に飲み込もうとしている
「で、でも、武田先生!影山くんなら大丈夫です!」
試合の最初にバタついてしまうのは初めてじゃないし!焦ったような表情はしていない
だから大丈夫!・・・だよね?
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