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約束の景色

第64章 雨上がり


少し怒ったような顔でそう言い切った。
「(一ノ瀬のこんな表情(かお)初めて見たかも・・・)」
でも真っすぐ言ってくれたその言葉は・・・目が覚めるような、ものすごく気合の入る言葉だった。
「だからそんな事言った人いつかビックリさせよう!」
夏に海へ行った時も、こうやって力をくれた。
うん、やっぱり頼りになる相棒だ!
今は一ノ瀬に頼ってばかりだけど・・いつか絶対!頼れる人になるから!待ってて!

「おれ、やってみる!出来る事ぜんぶ吸収するつもりで行ってくる!」
残っていたおにぎりを一気に口に入れてお茶で流し込む。
これから1秒も無駄にしない。おれに出来る事やってやる!
「そろそろ出発したほうがいいよ!家に着くの遅くなっちゃう。そしたら・・・」

「「”ちゃんとした飯を食う!”」」

二人同時に烏養コーチの言葉を口にした
あまりに同じタイミングだったので笑い合う。

気を付けて帰ってね、と背中に声をかけられた
振り返ればまだ手を振ってくれてる。だからおれも、もう一回おっきく手を振った。
前を向き直して力強くペダルを漕ぐ
「(今日も寒いな)」
息を吐き出せばフワっと白くなって夜空に消えていく。でも・・・
「(お腹・・・あったかいな)」


「ハアァ!?日向、昨日の帰り道に一ノ瀬にご飯もらったの??」
翌日の練習前、隣に座る月島におにぎりの話をした。
「なにそれ?聞いてないし・・・ってか寄り道しないで早く帰りなよ!別に一ノ瀬のとこ行かなくてもお腹すいたら途中で何か買えばいいデショ!」
物凄い勢いで注意?説教?される。
なんだよ。月島のやつなんでこんなに怒ってるんだ?
そんなにおにぎり食べたいならお前も食えばいいじゃんか・・・
ってかそっちは合宿で飯用意してもらえるだろ!
月島を見ればギロリと睨み返されて冷汗が出る。
「なんだよ?今日のツッキーは機嫌悪いな?」
伊達工の黄金川が会話に入ってきた。
「別にそういうんじゃないし」
タオルを持って月島がコートに歩いて行った。後姿からまだ怒っているのが伝わってくる。
「なぁ!日向!あとでトスの練習させてくれよ?自主練ならバレーやってもいいんだろ??」
「やるやる!よろしくお願いしァス!!!」
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