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約束の景色

第61章 黒い雲 ①


翌日になってもモヤモヤは消えない。
「部活の時間なのに浮かない顔してるね」
「はなちゃん」
「いつもだったら”部活行ってくる!”って飛び出してくからさ。
・・何かあった?」
誰かに聞いてもらったらこのモヤモヤの解決策見つかるかな?
こっち来て、って空き教室にはなちゃんを引っ張っていく

「今から・・ちょっとネガティブになる」
「うん」
「昨日ね、バレー部に道宮先輩きてくれたの。
女子バレー部の主将だった先輩。今週は潔子先輩いなくて私一人でマネージャー仕事してたから手伝ってくれて・・・
それでなんでも出来ちゃうの。マネージャー仕事も出来るし、自主練のお手伝いも出来ちゃう」
「みなも出来るじゃん?」
「私より色々な事出来る・・。試合形式になったらコートに入れる」
「あぁ・・・確かに。やってたしね」
「私いらないな、この場所にって思っちゃって・・・」
口に出して気づいた。
これは嫉妬だ。私に出来ない事全部出来るから。

「比べちゃったわけね。自分は毎日ここにいるけど同じようにはまだ出来ないから」
「うん・・・」
ハァ~ってため息が出た。
入部して結構時間経ったけどまだ出来ないこと多い。
「3年生の自主練の手伝いとか、みんなにアドバイスとか。レシーブの相手とか。・・・私どれも出来ない」
ボール拾いでもいまだにミスすることがある。
それを見て先輩たちが笑うくらいだ。
「今日部活休んじゃえば?パァーっと甘いものでも食べ行く?」
「・・・ううん、部活は行ってくる」
私の返事を聞いてはなちゃんがちょっと笑った。
「でもさ、みなにしか出来ないこともあると思う」
「え!?そんなのある?」
「うん。この前先輩たちとバレーしてるの見てて思ったけど・・・」
言葉にしようとすると難しいな~ってはなちゃんが唸る。

「長く続けてるとさ、なんとなく見えてくるっていうか・・・
”私が出来るのここまでだ”って勝手に線引いてこれ以上はダメって挑戦しなくなったりするでしょ?
でもさ、みなはそういう固定観念を壊してくれる存在だと思うんだ。
まだ分からないこと多いってそういう線引きもなく、真っすぐに挑戦できるのが強みだと思う!
それ見て周りの人たちも”頑張ってみよう”って背中押されるんじゃないかな?
初心者の視点でみんなを見れるって、今のみなにしか出来ないことだよ」
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