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約束の景色

第61章 黒い雲 ①


「私がいると・・・そんな風に思えるの?」
「結果だけじゃなくて、ちゃんとここまで頑張った自分を見ててくれる!大丈夫って背中押してくれる!」
うんうん!ってはなちゃんが大きく首を振る。
「球技大会の時の応援見てたでしょ?バレー部の人たちの熱量凄かったよ!みんな言ってた。
"いつも応援してくれてて力になってるから今度は俺たちがみなに力渡す番だ!”って」

西谷先輩ご用達のお店でお揃いの『飛べ』タオル作って、振り回して応援してくれた。
「入部してからずっと支えてくれてる存在ってみんな分かってる。だから出来ないこと多くても気にしてないよ。
これから出来るようになる、って思ってるよ!」
「はなちゃん・・・・・」
ネガティブだらけの私をいっぱい励ましてくれるはなちゃんに抱き着いて泣いた。
よしよしって背中をトントンしてくれる。
はなちゃんは私専属のマネージャーだ・・・。
「はなちゃん、いつもありがとう!」
「どういたしまして!・・・お礼は今度アイスで」
フフフって二人で笑う。


先生の頼まれごと片付けて、クリーニング屋さんでユニフォーム受け取って・・色々用事を済ませたらずいぶん時間過ぎてた。
「遅くなりました!」
急いで挨拶したあと、道宮先輩に謝りにいく。
「思ったより時間かかっちゃって・・・スミマセン!
道宮先輩がお手伝いに来てくれてて本当に助かりました。ありがとうございます」

今日は頑張るぞ!と気合を入れて作業に取り掛かれば道宮先輩がササッと手伝ってくれる。
多分、難しいのはやってくれて、なるべく簡単な作業を私に回してくれてる。
「(あ・・これもやってくれてる)」
モタモタしていたら、次やる作業終わってた。
部活やってたときの動作が染みついてるんだ。やっぱりすごいな・・・
自分の中の黒いモヤモヤがちょっとずつ大きくなっていくのが分かる

「(嫉妬だ・・・・)」
お腹のあたりをギュッと掴んだ。
今までは自分が一番下で、みんなの背中を追いかけることだけしか考えてなかった。
でも後から入ってきた人に、長い時間かけて自分が作り上げてきたものを一気に越えていかれた。
目の前で追い抜かされていくっていう初めての感覚。
「(先輩たちと一緒にいた時間も違うんだから、余計なこと考えるな私!)」
パチン!とほほを叩いて頭の中の考えを吹き飛ばした。
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