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約束の景色

第60章 夏のお返し


「はちちゃん!俺もあの場にいたよ!」
「大王様!もちろん大王様の分もです!」
もう一つ包みを取り出す。
「それと・・・この間はDVDありがとうございました」
小声でDVDのお礼を伝える。多分ほかの人には内緒で渡してくれたと思ったから。


キラキラした瞳で及川が包みを受け取った。
「もったいなくて食べられないね!」
大事そうに優しく抱きしめる。
「ってかなんで岩ちゃんしか呼んでくれないの?」
「??? ”岩泉さんと及川さんを探してます”って伝えましたよ?」
案内してきた男子生徒が面白がって岩泉の名前しか伝えなかったのだ。
「無事渡せて良かったです。練習の邪魔になるので帰りますね」
それではお疲れ様でした~と出口に向かって歩き出した。
「待って!待って!あと少しで部活終わるから待っててよ。ここ座ってて」
及川が急いでイスを出す。
「え・・・でも」
「いいのいいの!ね、岩ちゃん」
「オウ。送ってくから」


青葉城西の練習を隅っこから見学することに。
なかなかこんな機会ないからメモとか取りたいけど、それはいけない気がして。必死に頭の中に練習風景を焼き付けた。
練習はハードだったし、みんなヘトヘトになっていたけど・・・バレーしている岩泉さんと大王様は、なんだかすごく楽しそうで。
あぁ、やっぱりバレー好きなんだなって。

部活後、大王様たちの帰りの準備が済むのを待った
「ちわっす」
「(確か影山くんの同級生だった・・・)」
影山くんや日向くんと話しているのを何度か見たことある。名前は・・・
「お疲れ様。金田一くんと国見くん・・・だよね?」
自分たちの名前を呼んだことに二人が驚く。
「俺たちの事知ってんだ?」
「合ってた?良かった。影山くんに教えてもらったから」
「あいつ元気にしてる・・・?」
「うん。ずっとバレー練習してる」
相変わらずだな、と金田一くんが笑った。

「一ノ瀬・・だよな?先輩たちと仲いいの?」
「ちゃんと自己紹介してなかったよね。一ノ瀬みなです。
岩泉さんたちには夏にたくさんお世話になったんだ」
「先輩たちのあーいう顔初めて見た」
「確かに。及川さんはともかく、岩泉さんのあの慌てよう・・・すごいよな」
二人がクスクスと笑う。この二人仲いいんだな。
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