第5章 GW合宿
月島side
「なんでこんな時間に、こんなこと・・・。明日だって練習あるんだから早く寝ましょうよ」
「あれあれ~月島くんてばもしかしてビビってる!?」
日向にからかわれながら、これから始まる怪談話の為の輪に加わる
一ノ瀬を連れて田中さんたちも戻ってきた。
明らかに”こういう話は苦手”って顔に出てる。断れなかったんだろうな
どこに座るか悩んでいる様子だったので
「ここ座れば?隣に自分より怖がるやつがいたら平気だろうし」
と日向と自分の間を指す
「怖いのは月島だろ!一ノ瀬ここ座りなよ」
はいどーぞ、と日向もスペースを空けた
ちょこんと隣に座った彼女はガチガチに緊張している
「ちょっと!力みすぎ。どうせ作り話デショ。聞き流せばいいよ」
「作り話・・・そう・・ですよね」
余裕のない固まった表情。まだ始まってないのに今からこんな状態で大丈夫なの?
部屋を薄暗くして大会スタート
一人目は縁下さん。淡々と語るから確かに少し怖い。日向や田中さんの「ヒィ」という悲鳴がちょくちょく聞こえてくる
次は山口。こいつホラー系好きだからみんなを怖がらせようとして楽しんでるな・・・
続いて菅原さん。「待ってました!」という自信が出ている。
もしかして相当準備してきてるのかも?
「これは俺のじいちゃんに聞いた話なんだけど・・・」
周りを引き付ける語り口で一気に部屋の空気が変わる。
「(ん?)」
Tシャツを引っ張られてる事に気づいた。
「なに?」
横を向こうとするとTシャツから震えが伝わってくる。
苦手なら参加しなければいいのに・・と思うがTシャツを握る力も震えも徐々に強くなっている。
「(そんなにされたら伸びる・・。はぁ、しょうがないな)」
Tシャツを握る手をそっと包み込み、大丈夫だよと落ち着けるようにトントンと優しく叩く。少し震えは収まった。
そして菅原さんの話のラストで急に部屋の電気が消えた。
澤村さんが急いでスイッチを探す。
「おい!誰だよ電気消したの!」
「俺じゃないです」
「だれも・・・立ち上がってないです・・!」
「「「(声にならない悲鳴)」」」
「お!おい!日向の意識飛んでる!」
「田中が仏になってます!!」
「一ノ瀬息してません!」
「誰か食堂から塩持ってこい!全部まく!」
部屋中がカオスな状態になった。
その後澤村さんから怪談話禁止令が出た
