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約束の景色

第5章 GW合宿


一ノ瀬side

「(ど、どうしよう。どこで聞いたら一番怖くないかな・・・)」
怪談話大会をするから、と大部屋に連れてこられたが怖い話は大の苦手である。
できれば少しでも安心できる場所に座りたい。

すでに出来上がっている輪を見つめる。
「なんだ?みな怖い話苦手か?」
隣に立つ西谷先輩から声をかけられた。コクコクと何度もうなずく。
「それならこっち座れ!」

連れていかれたのは西谷先輩と木下先輩の間

大丈夫!すぐ終わる、すぐ終わる・・・と自分に言い聞かせて座る。
「ほら」西谷先輩から差し出された手
「?」
なんとなくそれに手を重ねるとぎゅっと握られた。
「こうしてれば隣に俺がいるってちゃんと分かるから怖くないだろ?」
「あぁ!確かに!」
西谷先輩!頼もしいです!心強いです!と何度もお礼を言う。
そんな二人のやり取りを見ている周りのみんなは静かになる

「「「(あいつ・・・カッコいいけど何いいとこ持って行ってるんだよ!)」」」

「両方だと更に安心感増すかも」
そう言って隣に座る木下先輩が手を出してくれた。

「「「(こいつ!!!西谷に便乗した!)」」」

ありがとうございます、ともう片方の手を木下先輩に預ける。

忠犬ハチ公Tシャツを着た後輩と手を繋いだ西谷と木下を囲む他の男たち。
もう怖い話などどうでもいい。
『この状況を1秒でも早く終わらせる。そして西谷と木下を潰す!』
その共通の目的を遂行する為にさっさと怪談話を切り上げる。
何一つ怖くない普通の話が3つ出ると、会は即終了した。

「先輩たちには本当に感謝です。最後まで頑張れました」
ありがとうございました、と大部屋を去っていく一ノ瀬

姿が見えなくなると急遽始まる枕投げ大会。
西谷・木下vs他全員という圧倒的不利な戦いは長時間続いたが、
烏養コーチに
「いつまでやってんだ!うるせぇ!早く寝ろ!」
と怒られ終了した。
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