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約束の景色

第5章 GW合宿


澤村side

田中たちに連れられて大部屋にやってきた一ノ瀬
どこに座るか困っている様子だったので声をかける

「あっちは騒がしいから危ないぞ。静かだからこっちおいで」
こっちこっちと手招きして自分と旭の間に座らせる。
「スガは毎年この日の為に怖い話を仕上げてくるんだよ。後輩怖がらせるのに命かけてる」
苦笑いしながら隣に座る一ノ瀬に話しかけるが返事がない。
「(うん?顔色があまりよくないが気がするが・・大丈夫か?)」

部屋を薄暗くしてついに怪談話大会スタート
一人目の語り手は縁下。最初からそこそこ怖い話を持ってくる。
西谷や田中から「ヒイィ!」という悲鳴がちょくちょく聞こえてきた。
「日向ボゲェ!くっついてくるんじゃねえ!」
「うっせ!お前こそくっついてくんな!」
1年も非常に怖がっているのが分かる
一旦話が終わったところで隣をみると一ノ瀬が固まっている。
「大丈夫か?」
声をかけると小さくコクンとうなずいた
「1発目から結構怖かったよな・・。俺寒気したよ」
旭もぐったりしている。
次に山口が喋り、更なる盛り上がりを見せた。
そして満を持してのスガ登場

「これは俺のじいちゃんに聞いた話なんだけど・・・」

この日の為に準備してきただけあり、怖さも段違いだ。しかも去年よりレベルが上がっているのを感じる
合宿前に「期待してろよ」って楽しそうだったもんな・・・
「(??)」
急にTシャツを引っ張られる感覚。
一瞬寒気がしたがすぐに一ノ瀬が掴んでいるのだと気付く。そしてそこから震えているのが伝わってきた。
スガの話は怖いが、ここまで怖がっている後輩のほうが心配でどうしたらいいものかと悩む・・・。
自分のTシャツを掴む一ノ瀬の手をそっと握る。
するとこちらにぴったりとくっついてきた。
「(!!!) 」
驚いたが震えが更に伝わってくる。
「(もうすぐ終わるぞ!大丈夫だ!)」
しっかりしろ!という気持ちを込めてギュッと手を握ることにした。

やっとスガの話が終わったので明るくなる前に一ノ瀬の手を放す。
電気が点くとそこには放心状態の日向、田中、一ノ瀬がいた。
「お!おい!日向が燃え尽きてる!」
「田中が泣いてるよ!!」
「一ノ瀬息してません!」
してやったりと喜ぶスガ。

今年でこの大会は終わりにしようと決意した
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