第58章 東京前線② 【最後のピース】
試合は音駒が戸美学園に勝利。
見事春高への最後の切符を掴み取った。
閉会式も終わり、荷物を片付けて宮城に帰る準備をする。
1階に降りて行くと音駒の選手たちが出口で待っていてくれた。
「ここで待ってるから行っておいで」
滝ノ上さんと冴子さんが送り出してくれる。
一番先に前へ出てきたのは芝山くん
「一ノ瀬ちゃんの声、コートまで届いたよ!すごく力もらった!!
一緒に戦ってくれてありがとう」
今にも泣きだしてしまいそうな表情
「春高出場おめでとう!」
笑顔で言うと芝山くんも満面の笑みになった。
松葉杖の夜久さんが目に入った。
「足は大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。思ったより軽いって」
”これのおかげかな?”とテーピングを見せる。
「良かった・・・」
ホッとしたら思わず泣いてしまう。
試合中の悔しそうな顔は2階からも見えてた。
「ちょ、ちょっと!泣かないでよ!?」
「あぁー!夜久さんがみなさん泣かした!」
リエーフくんが近くにきて”大丈夫だよ?よしよし”と頭を撫でる。
「ハァ?何言ってんだよ!ってかお前は近すぎ。気安く触んな!!」
松葉杖でリエーフくんをつついてどかす。
そんな二人のやり取りをみんなで笑った。
「泣かれるより笑っててくれたほうがいいな。
応援ありがとう。芝山も言ってたけど本当によく聞こえたよ」
「うん、よく聞こえた。みながベンチにいるみたいで夏合宿思い出した」
黒尾さんと研磨くんもいい顔している。
「よーし!じゃあマネージャーを入れて集合写真撮ろうぜ!」
黒尾さんがみんなを1か所に集める。
「よし!俺が撮ってやるよ」
「「「あざース!」」」
カメラは滝ノ上さんが引き受けてくれた。
「研磨!ジャージ貸してやって」
「みな、これ着て?」
黒尾さんが言うのと同時に、研磨くんから着ていたジャージを渡された。
音駒の集合写真ではいつもジャージ着させられるな、と笑ってしまう。
黒尾さんと研磨くんの間に立つ。
前には一年生たちが肩を組んでいる。
隣では夜久さん、その両隣を海さんと山本さんが支えた。
「やっぱポーズはこれだろ!」
山本さんがテーピング巻いた手をだす。
それを見てみんなが同じポーズをした。
威嚇するような「ガォー」ってしてるポーズ
集合写真を撮っていると木兎さんと赤葦さんもやってきた。
