• テキストサイズ

約束の景色

第58章 東京前線② 【最後のピース】


みんなの指にテーピングを巻き終わった。
「これで音駒が全員揃ったな。ってことでいつものやっておくか!」
黒尾さんが右腕を出す。みんなも同じように右腕を出していった。
「ほら、みなちゃんも!」
黒尾さんがチョイチョイと手招きする。
「(あぁ・・・合宿中に何度も見た景色だ)」
急いで黒尾さんと研磨くんの間に滑り込んだ

俺たちは血液だ 滞り無く流れろ 酸素を回せ ”脳”が正常に働くために

「行くぞ!」
「「「あス!」」」
コート整備が終わり、アップ開始の合図が鳴る。
「俺たちも必ず勝って春高に行く!応援頼むぞマネージャー!」
黒尾さんがテーピングの巻かれた手を出してニヤリと笑った。
「いってらっしゃい!」
ハイタッチでコートに送り出す
「行ってくる」
静かにそう言って研磨くんも手を出す。
音駒のみんなをハイタッチで送りだした後、急いで客席に戻る。

「挨拶できたの?」
「はい!みんな気合入ってました」
「ゴミ捨て場の決戦だっけ?それを春高で実現する為にも音駒に勝ってもらわないとね」
冴子さんも応援に熱が入る。


「まぁこうなるわな」
戸美学園の大将が黒尾に話しかけた。
「ハァ~?俺らは決勝行く気満々でしたァ~・・つって実際負けてるんで黙りますね」
二人が握手を交わす。
ここから春高への最後の出場権をかけた試合が始まる。
「悪いけど今日は俺たちが勝つ。公式戦で初めて全員揃ったんだ・・・
負けるわけにはいかないんで」
「?」
大将が音駒のベンチに視線を運ぶ
「(いつも通りのメンバーだよな?)」


第1セット終盤、観客のほうに飛び込んでボールを繋いだ夜久さんが足を痛めてベンチに下がる。
代わりに1年生リベロの芝山くんがコートに入った。
「(がんばれ!)」
痛いくらいに手を握りしめる。
リエーフくんがブロックするが相手にスパイクを決められてしまった。
二人が何か言葉を交わしたあと、もう一度相手が同じコースにスパイクを打ってくる。
「あっ!!」
今度は芝山くんが綺麗にボールを上げた。
「芝山くんナイスレシーブ!」
思わず声が出た。
きっとリエーフくんがブロックでボールを誘導してコースを絞ってくれたんだ!

/ 336ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp