第58章 東京前線② 【最後のピース】
迎えに来てくれた二人のあとに付いてみんなの元へ向かった。
「みなちゃん!観に来てたのか!」
黒尾さんたちが目の前にやってくる。
「「「(あれ!?なんか違う!)」」」
近寄って来たみんながピタリと止まった。
冴子さんにやってもらった髪の毛、気づいてくれたのかな?
「髪型変えた?似合ってる!リップもだ!可愛いです!」
リエーフくんが大きな声で褒めてくれる。
「分かる??リエーフくん凄いね!そう言ってもらえると嬉しい!」
「「「(スマートに褒めやがって、リエーフのやつ・・・・)」」」
音駒の部員たちから鋭い視線が飛んできたがリエーフは気づかなかった。
「いつ東京来たの?」
「昨日から試合観てたよ!」
「「「「昨日から?」」」」
みんなの声が綺麗に揃った
「うちのコーチに東京の試合観てこいって言われて」
「「「「なんで言わないんだよ!」」」
「みな、どうせ来るなら先に言ってほしかった」
研磨くんが拗ねたような声で言う
「しかも俺たちが負けたとこ見てるなんて!」
リエーフくんも悔しそうだ。
「みなさん、これお願いできますか?」
テーピングとはさみを渡される
「今日は絶対負けられないから。お守りにします!」
私のテーピングがお守りになるなら、と了承した。
「俺がブロックして打って、ガンガン点獲るから大丈夫です!」
「リエーフお前・・・クソレシーブしたら許さなからな?」
夜久さんにジロリとにらまれて冷汗を流す。
「リエーフくん、大丈夫」
「え?」
「音駒には夜久さん、芝山くんって最強のリベロが揃ってる。
背中守ってくれる。それに最高のメンバーが横にいるからそのまま強気で大丈夫!」
リエーフくんのテーピングが巻き終わった
「俺もやってもらおうかな?リエーフのおかげで出番多そうだし」
夜久さんも笑顔で手を預けた。すると他のみんなも「俺も」と続く。
芝山くんが一番最後
「僕には必要ないかもだけど・・・お願いします!」
「守備レベルの高い音駒でリベロ任されてるんだから、芝山くんは凄い人だよ。リエーフくんたちが思い切り攻撃にいけるのは
”背中を任せられるリベロが音駒にいるから”だと思う」
芝山くんにだけ聞こえるくらいの声で伝える。
「一ノ瀬ちゃん・・・」
「だからしっかりね!」
ニッ!って笑って芝山くんを見た。力強くうなずく
