
第52章 決勝戦 vs白鳥沢②【眈眈】

白鳥沢の攻撃が決まる。
牛島さんだけじゃない。他の人たちもしっかりと攻撃を決めて点数を重ねてくる。
「(う”ぅ”~!いま前衛には月島くんがいる!!)」
『烏野の前衛やる気あんのか?ブロックざるじゃん』
後ろのほうから聞こえてきたヤジに悔しくなって手すりを掴む手に力が入った。
隣に座っていた明光さんが後方にキッ!と鋭い視線を送ったあと、コートに立つ月島くんに視線を戻した。
「・・・大丈夫だよ。蛍は感覚で動くタイプとは真逆に位置する選手だ。あいつは自分の力を信じてない。培ってきた感覚も信じない。
こっちがガッカリするくらい冷静なんだ。
・・・信じるのは目の前にある”情報”だけ。これからだよ」
月島くんは機会をうかがってる。恐ろしいくらい冷静にこの試合を見てる。
少しずつ目の前の情報を処理して、データを蓄積していってる。
「(日向くん、影山くんも負けず嫌いだけど、月島くんだって相当の負けず嫌いだ。このままやられっぱなしのわけがない!)」
白鳥沢5番の選手が攻撃を仕掛けた。それを月島くんが一人で止める。
「「「ナイスブロック!!!」」」
「「「ナイスワンチ!」」」
その後も月島くんがワンタッチで烏野にチャンスを作る。
シンクロ攻撃も決まり点差を離されることなく、白鳥沢にくらいついていく。
交代の笛が鳴った。
「山口くん!ナイッサァー!」
「崩れた!」
「!!!」
乱れたと思ったところで牛島さんが決め、烏野に傾いた流れを止める
21,22点・・・
見ていて心臓が痛くなる展開が続いていく。
ここで白鳥沢のセッターが牛島さんにボールを上げた。
「ブロック3枚だ!」
牛島さんがブロックを避けて打った先には・・・
「西谷先輩!!!」
烏野のスーパーリベロ!完璧なレシーブでセッターにボールを返す。
ボールを託された月島くんが見事に決めた。
「「「よっシャァァァァ!!!」」」
「西谷先輩ナイスレシーブ!!月島くんナイスキー!!」
「いまのウシワカを止める為っていうより、誘導する為の動きをしてたわけか!ナイス連携じゃん!」
冴子さんが“蛍、やるな”って褒めると明光さんが嬉しそうに笑った。
ここにきて白鳥沢のセッターがツーアタックを決めてくる。
点数は24対23。白鳥沢のセットポイント
焦ってコートを見つめれば・・・
「(月島くん?)」
「蛍の様子なんかヘンな感じするよね?」
