第51章 決勝戦 vs白鳥沢① 【王者への挑戦】
体育館に足を踏み入れれば今まで対戦してきた中で、一番の応援団。
会場内は白鳥沢の空気で染まっている。
うちのほうも烏野商店街&OB応援団、それにはなちゃん、谷地ちゃん、道宮先輩たち、日向くんの同級生も来てくれてる。
烏野の応援席がこんなに賑やかなのは初めてだ!
はなちゃんと谷地ちゃんがこっちに向かって手を振った。
滝ノ上さん、嶋田さんと合流した後、冴子さんを待つ。
「あっ!冴子・・・さん?」
姿を見つけて手を振れば、何か引っ張ってきた?
「会場に不審なやつ見かけたからとっつかまえてきた!白鳥沢のスパイかもしれないよ」
「「何!?」」
冴子さんがサングラスかけた男の人の腕をがっちり掴んでいる。
なんか・・どこかで見た事あるような・・?
「関係者ですっ。月島蛍の兄です!!」
そう言って慌てて帽子とサングラスを外す。
「「月島の兄貴ィ!?」」
「明光さん!!」
ついに会場へ来てくれたんだ!
「一ノ瀬ちゃん、おはよう」
やっとスパイ疑惑から解放された明光さんがホッとしてイスに座った。
うちわは・・・今日は持って来てないみたい。
「それならちゃんと声かけてやりなよ。おぉ~い月島!兄貴・・・」
「あっ!!・・・試合には来るなって言われてるんです!」
明光さんがサッと体を小さくした。
コートを見れば月島くんがこっちを見上げてる
「多分・・・もう気づかれちゃいました」
「!!?」
試合開始前、ベンチにみんなが集まる。
烏養コーチの言葉のあと、武田先生がみんなに声を掛けた。
「うん!みなさんいい顔してますね!僕からは何も言わなくても大丈夫そうだ」
部員たちの顔を見渡した武田先生がにっこり笑った。
「烏野のもう一人のチームメイトが、あの場所から君達を鼓舞しています。
彼女は”試合中、自分もこの場所で戦いたい!”と言ってました」
思わぬ一ノ瀬の気持ちを知り、山口以外が驚いた顔をする
「でも”居る場所が何処だって、一緒に戦っている仲間ということに変わりはない”です」
そうですよね?と、日向と影山を見た。
「「はいっ!」」
二人が力強く返事をする。
それはマネージャー達が横断幕を見せたくれた帰り道に、日向と影山が一ノ瀬に伝えた言葉
「みんなで勝って、春高に行きましょう!」
「「「ハイ!!!」」」
