
第51章 決勝戦 vs白鳥沢① 【王者への挑戦】

”これより 宮城県男子代表決定戦
宮城県立烏野高等学校 対 白鳥沢学園高等学校
の試合を開始致します”
会場内にアナウンスが流れたあと、両チームのスターティング選手の紹介が始まる。
「蛍ー!」
「チョット、止めて!!」
冴子さんが隠れて応援する明光さんに代わって月島くんの名前を呼べば、慌てて止める。
「(初めてのセンターコートでの試合!)」
コートに立つみんなの緊張は大丈夫だろうか?
「決勝が初めてってことは5セットマッチも初めてですか?」
「そう。スタミナが心配だな・・・」
今までは2セット先取の3セットマッチだったけど、決勝は5セットマッチ。先に3セット先取したほうの勝利だ。
不安から一瞬暗くなってしまったが応援でそんな気持ちを吹き飛ばす。
「「「やったれ烏野!」」」
「「ファイトー!!」」
大地先輩のサーブから試合が始まった。
「いいコースだったけどアウトか~」
得点が入れば大応援団から大きな声が響いてくる。
「うぅ・・・呑まれんなよぉ・・・!」
冴子さんの心配が現実に。
白鳥沢のサーブで田中先輩と旭先輩がお見合いしてボールが落ちた。
緊張で固くなってしまった烏野の空気を壊すようにスガ先輩が喝を飛ばす
「(みんな頑張れ!)」
祈るようにコートで戦うみんなを見つめた。
続く白鳥沢のサーブを大地先輩があげ、月島くんがスパイクを打つ。
「乱した!」
白鳥沢のセッターが牛島さんにトスを上げる。
打った先には・・・西谷先輩の姿!
西谷先輩の腕に当たったボールは横に飛んで行く。
『ナァーイスキィー牛島!!!』
「西谷先輩の正面だったのに・・・なんで・・・」
「さすが左・・・」
「ウシワカってヤローの力とか高さとかが凄いのは分かるんだけど・・・。でもその”左”ってだけで何か特別凄いの??」
「普段右利きを相手にする事が多いから、左利き相手っていうのは予想以上にやり辛い。体に染みついてるのは右対応だから、慣れるまではどうしても時間がかかる・・・
”左”搭載の上、更に火力は最強クラス。それがウシワカ」
牛島さんがストレートを打った。正面には西谷先輩!
『ナァーイスキィー牛島!』
「西谷先輩・・・・」
「夕が拾えないなんて手に負えないじゃん」
牛島さんの、目の前の壁すら破壊して放たれる強烈なスパイクはやっぱりすごい・・・でも!
「大丈夫です!西谷先輩は絶対上げます!」
