第51章 決勝戦 vs白鳥沢① 【王者への挑戦】
緊張からいつもより早めに目が覚めた。
起きるにはまだ早かったけど、もう二度寝は出来そうにないから準備を済ませて学校へ。
時間を潰すようにちょっと遠回りの道を選んでみた。
「(ついにこの日が来た・・・)」
牛島さん率いる白鳥沢学園とついに試合をするんだ。
「おはよう。早いな」
「あっ、大地先輩。おはようございます!」
ヨッって手をあげて声をかけられる。
「緊張して寝れなかったか?」
苦笑いしてうなずくと大地先輩も苦笑いする。
「俺も早く目が覚めて。家に居ても落ち着かないから・・・」
二人並んで学校へ歩く。
「・・・”チャンスを掴めよ”」
「?」
「卒業していった先輩たちに言われたんだ。”チャンスは準備された心に降り立つ。だからチャンスが来たらその時は掴め!”ってさ。
俺は・・・それが今だと思ってる」
大地先輩が真っすぐ前を見据えた
「今日そのチャンスを掴むんだ」
私も同じように真っすぐ前を見る。
”春高への切符”をみんなで掴みに行くんだ!
仙台市体育館入口
先にやって来た白鳥沢学園の選手たちが勢ぞろいしている。
その中でも一際目立つ人に向かって日向くんと影山くんが歩いて行った。
「あなたをぶっ倒しにきました!」
牛島さんの前に立ち、そう言い放つ。
「・・・」
嬉しそうに二人を見て笑ったあと、後ろにいる私にも視線を移す。
えっ!?もしかして・・・覚えられてる?
「烏野の1年は威勢がいいのが揃ってるな。今日の試合楽しみにしている」
牛島さんを先頭に白鳥沢の選手たちが移動していく。
王者の貫禄が凄い・・・
「(ヒナタショウヨウ、カゲヤマトビオ。
彼女は・・・?ん?
そういえば聞いていない。なんて名前だったか?
及川は”はちちゃん”と呼んでいた気がするが・・・
苗字か?名前か?)」
「若利くん、考え事しながら歩いてると危な・・」
天童が注意しようとしたその瞬間、牛島がドアに激突した。
「お前ら、ウシワカと知り合いなのかよ!?」
向こうが立ち去った後に田中先輩が日向くんたちに質問する。
「こっち見てたみたいだけど、みなちゃんも知り合いなの?」
潔子先輩をなんとも言えない表情で見つめた
冷汗が出てきた。