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約束の景色

第50章 球技大会


ついに決勝戦が始まった。
相手は女子バレー部が半分を占める優勝候補だ。
試合が進んでいくと道宮先輩の表情がどんどん輝いていく。
「私ね、やっぱりバレー好きなんだなって改めて思った」

コートチェンジの水分補給中
「勝ちたいな・・・」
道宮先輩がつぶやいた。きっと無意識に出た言葉だ。
同じように道宮先輩の声が聞こえていた隣の2年生と顔を合わせてうなずく。
私たちも絶対勝ちたい!

「結先輩、優勝するのは私たちです!」
「負けないよ?」
お互い1セットずつ取ったファイナルセット。
「(ミスしたらどうしよう?これが最終セットなのに・・・)」
緊張で体が固くなっていくのが分かる。
「一ノ瀬!」
日向くんの声が響いた。
「大丈夫!コートのこっちっ側全員味方だから!!!」
「日向!それ誰が言ったんだ?名言だな」
嬉しそうに田中先輩が言う。
日向くんを見てうなずく。
「(そうだ!道宮先輩たちがいる!)」
フゥーって1つ深い呼吸をした。
前衛にいる道宮先輩たちの頼もしい背中が見える。
「(1人じゃない・・・うん、大丈夫!)」
「一ノ瀬の表情変わったな・・・」
「俺たちがついてるぞ!頑張れよ!!一ノ瀬!!!」


こっちのチームのマッチポイント
道宮先輩が打ったストレートがブロックされた
「(!! 落としちゃダメ!)」
とっさに前へ跳ぶ。
何度も見てきた西谷先輩のブロックフォロー姿が頭に浮かんだ。
フライングは練習してきてない。
ビタン!ってすごい音を立てて胸から床に落ちた。


「一ノ瀬ちゃん!ナイスカバー!」
ボールが上がった。
セッターがもう一度道宮にトスを上げる。
今度は見事に決めた。それが決定打となり試合が決まる。


床に寝そべったまま、向こう側のコートに転がるボールを見つめた。
「(試合どうなった・・・?)」
うるさいくらいドキドキ鳴る自分の心臓の音だけが頭に響いてる。

「一ノ瀬ちゃん!!!」
道宮先輩に急いで起こされた。
「すごいよ!さっきの良く取ったね!」
無我夢中だったからよく覚えてない。
指先にボールが当たった・・ような気がする。
「ナイスレシーブ!」
一緒のチームになった先輩たちにガシガシと頭を撫でられた。
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