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約束の景色

第50章 球技大会


谷地の首からは見慣れた一ノ瀬のカメラがかかっていた。
「それ一ノ瀬ちゃんのカメラ?」
「うん。預かってるんだけど・・・試合に集中しちゃって全然撮ってあげられないんだ」
「貸してくれる?俺撮ってみるよ」
山口がカメラを受け取った。


「女子バレー部からのご厚意でユニフォーム届きました。
盛り上げるために決勝に出る人たちはユニフォーム着用でお願いしまーす!」

「なんか部活してるとき思い出して懐かしいな」
「引退してないみたいだね?」
道宮先輩たちが嬉しそうに袖を通す。
私にもユニフォームが手渡された。
「(なんか照れくさくてフワフワする)」
まさか自分がユニフォーム着る機会がくるなんて・・選手側になるなんて考えたことなかった

ユニフォームに着替えて体育館に行けば、応援に来ていた生徒たちが盛り上がった。
「一ノ瀬!これ、余ってるやつだからやるよ。髪の毛邪魔にならないぞ」
旭先輩がいつも使ってるヘアバンドをくれた。
これ付けたら先輩みたいに強くなれるかな?
「見た目だけはどんどん強そうになってるな?」
大地先輩とスガ先輩がヘアバンドを付けた私を見てうなずく。
「あんま緊張するなよ?ちゃんと出来るんだから。落ち着いていけ」
「そうそう!ほら、まずは深呼吸」
「バレー部男子、一ノ瀬ちゃんのこと構いすぎ」
道宮先輩たちがからかうように笑う。


コートからみんなのいる方を見る。
「(こっち側の景色ってこんな感じなんだ・・・。応援してくれる人がいるって心強いな)」
「一ノ瀬ー!がんばれーーー!」
「慌てるなよ」
「ボールしっかり見てけよ!」
試合開始直前、大地先輩の「せーの!」って声に合わせてみんなが手に持っていたものを広げる。
「(あっ!)」
”飛べ”って書かれたタオル。烏野バレー部の横断幕と一緒。
はなちゃんと谷地ちゃんまで持ってる!
「「「頑張れーーー!」」」
みんながユニフォーム姿の私たちを見て声援を送る。
パチン!と両ほほを叩いて気合をいれた。
「(よし!がんばる!)」
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