第50章 球技大会
「大丈夫?顔が固まってるけど」
明日の事を考えて顔が青ざめる一ノ瀬を月島と山口が心配そうに見る。
「うん、きっとダイジョウブ・・・ダイジョウブ・・」
みんなの足を引っ張りたくない。
だから短い期間だったけど練習もしてきた!
「(でも・・・私のせいですぐ負けちゃったらどうしよう?)」
そんな不安で頭がいっぱいになる。
月島くんと別れたあと、山口くんと並んで歩く
お互い黙ったまま。
「・・・一ノ瀬ちゃん!!」
「!? はいっ!」
突然大きな声で呼ばれて、思わずこっちも大きな声で返事をする。
「球技大会に向けていっぱい練習してきた!!
あとは明日勇気を出してやりきるだけ!だから弱気にならなくて大丈夫だボゲェ!」
顔を赤くした山口くんから喝を入れられた。
あまりに急だったからポカンとしちゃったけど・・・
うん!そうだよね。みんなに協力してもらって出来る限りの事やってきた。あとは明日やりきるだけだ!
「ご、ごめん。急に大きい声出したからビックリしたよね」
「ううん!山口くん!背中押してくれてありがとう!気合入った!」
二人で”明日頑張ろうー!”と気合を入れた。
球技大会当日、代表メンバーが集まる。
緊張していたが「まずは楽しむこと!」と道宮先輩がリラックスさせてくれた。
運動系の部活に所属している人たちが選抜されてきたので、みんな上手い。
「みなちゃん、頑張って!」
潔子先輩はマネージャーのように傍で応援してくれている。
はなちゃんと谷地ちゃんも大きな声で応援してくれた。
最初は緊張して動きが固かったが、少しずつ慣れてきた。
順調に勝ち上がり決勝へと駒を進める道宮チーム。
そこへ試合を終えた男子たちが続々と応援に駆け付けた。
「道宮!一ノ瀬のこと頼むぞ!」
澤村が声をかければ道宮が笑って手をあげる。
「一ノ瀬!リラックスしてしっかりな!」
菅原と旭も一ノ瀬に声をかける。
「みな!」
「一ノ瀬!」
「「「俺らがついてる!応援してるぞー!」」」
2年生組も駆け付けた。
「間に合った?」
「まだやってるよな?」
「ツッキー早く!早く!」
「あれだけ練習したんだから勝ち残ってるデショ」
「女子はまだやってるよね?」
山口が谷地たちに声をかける。
「順調に勝ち上がってる!次は決勝戦だよ!」