第43章 代表決定戦! vs和久谷南 【襷】
体育館に戻ると俺の代わりに縁下がチームを支えていた。
「(あいつが次の主将になるんだろうな・・・)」
なんとなくそう感じた。
いま出ていくとせっかくの空気が変わってしまいそうだったので、ここから試合を見守る。
一ノ瀬もそれを察したのか静かに隣に立ち試合を見守っていた。
「(隣に居てくれることがこんなにも心強いのか)」
自分は今年が最後だ・・・。
来年もこの子と一緒に居れる後輩たちを少し羨ましく思った。
試合はファイナルセットに突入していた。
コートには縁下先輩の姿が!
和久谷南のブレイク(連続得点)が決まる中、ブロックアウトを狙ったボールを縁下先輩が拾う。
「(すごい・・・!!縁下先輩ナイスレシーブです!)」
上がったボールを西谷先輩が繋いで日向くんに託す。
でも相手は・・・ブロック3枚!?
「(あ!)」
相手のブロックに当たったボールはフワっと烏野コート側に戻ってきた。
まるで”一度立て直そう”って言ってるかのように。
「えっ!?日向いまブロックにワザと当てた?」
「いまのあれ!合宿の時に木兎さんとの秘密特訓で教えてもらった
”リバウンド”です!」
日向くんすごい!出来ることがいっぱい増えてる!
「そんな特訓もしてたのか!?今年の一年は本当・・・すごいな」
烏野のブレイクから、縁下先輩のナイスレシーブ。
そして最後は日向くんが決める。
セットカウント2-1で烏野高校が勝利。
主将が不在の中でも、烏野のみんながきっちりと勝ち上がって次の舞台へ繋げてくれた。
「(荷物と横断幕!片付けに行かなきゃ!!)」
終わればすぐ、次の試合を行う部員たちがコートに駆け込んでくる。
2階の席に戻らなきゃ。
ずっと戻らないから嶋田さんたちもソワソワしてるかも。
「もう・・・行くのか?」
「次の試合始まる前に荷物取ってきます!すぐ戻ります!」
「あっ!?荷物。そうだったな、スマン」
不安そうな声だった大地先輩がハッとした。まだ歯が痛むのだろうか?
試合を終えたみんなもきっとすぐ戻ってくるから、私も早く行って来よう!