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約束の景色

第41章 ちびっ子バレー教室


最後に参加した子供たちで試合。
みんなが楽しそうにバレーしてる姿を見てたら、今日は来てよかったなって思う。

「(うん?)」
体育館の端っこ、一人ぽつんと壁によりかかる男の子。
どこか怪我しちゃったのかな?
「大丈夫?どこか痛くなっちゃった?」
怖くないようにゆっくり屈んで顔を覗き込む。
少し不安そうな表情で首を横に振った。
「みんなと一緒にやらないの?」
「ぼく・・・ヘタだから。一緒にやっても同じチームの子つまんないと思う」
そう言ってギュッと洋服の裾を握りしめた。

せっかく参加したんだから今日はめいっぱいバレー楽しんでほしいな・・・。
「ねねっ!知ってる?」
不安な気持ちを吹き飛ばすように、にっこり笑顔で話しかける。
「??」
「バレーってね、みんなでボールを繋ぐスポーツなんだ。
1人じゃ出来ないの。それに”コートのこっち側全員味方”なんだよ!」
「えっ・・・」
「みんなでボール繋げば大丈夫!やろう!」
メンバー交代の笛が鳴った。
手をひいて一緒にコートへ歩いて行く。

「あっ・・」
男の子がレシーブしたボールは予測してなかった方向に飛んだ。
「ご・・ごめんな・・」
「(っ!?・・・大丈夫!絶対間に合う!)」
みんなと沢山練習してきたんだ、私にだってやれる!
夢中で腕を伸ばした。なんとか届いてボールが繋がる。
「一ノ瀬!!!ナイスカバー!」
「はちちゃんやるー!」
上がったボールを夏ちゃんが決めた!
「やったー!」
兄ちゃん見てた??と嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねる。
日向くんも嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる。
「夏ーーー!ナイスキー!!」

キョトンとした顔でこっちを見る男の子のそばに行って右手を出す。
「ナイスレシーブ!」
夏ちゃんも駆け寄ってきたので三人でハイタッチ。
「わたしたちで1点とったー!」
「ぼくも・・・出来てたの?」
「うん!ボール繋いでくれてありがとう!」
目の前の男の子が弾けるような笑顔になった。


夏ちゃんは大王様の事を「大王先生!」って呼んで練習後も色々教えてもらっていた。
他の子どもたちも大王先生!と呼んであとを付いて回っている。
「チビちゃん兄弟は俺に変なあだ名つける天才なの?勘弁してよ・・・・」
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