第41章 ちびっ子バレー教室
「「ちびっこバレー教室?」」
部活前に大地先輩から日向くんと二人呼び出された。
「毎月1回行ってるイベントで、近隣高校のバレー部員が交代でサポートに入るんだ。それで、今回は烏野(うち)の番ってわけ。
二人に行ってもらいたいんだけど、どう?」
大地先輩の話ではこれに参加するのは毎年1年生みたい。
ちなみに去年は田中先輩と西谷先輩が参加したそうだ。
「(影山と月島は・・子供相手は向いてなさそうだし、二人のどっちかがダメだったら山口に頼もうかな)」
「「行きます」」
「ちびっ子バレー教室~?」
「うん。夏くらいの子たちにバレー教えるんだって」
「兄ちゃん!夏も行きたい!」
”おかあさん!夏もバレーやりたい!”そう言って部屋の中をぴょんぴょん跳ねる。
「翔陽、夏も連れて行ってあげて?」
当日、会場に向かえば日向くんの横に可愛らしい女の子。妹の夏ちゃんらしい。二人並ぶとよく似てる。
「はじめまして。夏ちゃん!今日はよろしくね」
「よろしくおねがいします!」
体育館の中に入るとまさかの人が。
「「大王様!?」」
「徹は彼女に振られてヒマなんだって」
「猛!!余計な事言わなくていいの!・・・俺は甥っ子の付き添いだから!」
「「「すごーい!!!」」
子供たちに混じって体育座りをする日向と一ノ瀬。
及川のセットアップをキラキラした瞳で見つめる。
「(こんなに褒めてくれる人、うちの学校にはいないよな。
岩ちゃんたちはいつも冷たいし・・・)」
正確なトスを上げる及川に歓声が上がる。
「「「おぉーーー!」」」
「(こんな風にされたら調子乗っちゃいそう・・じゃなくて調子崩すな)」
日向と一ノ瀬を見て立つように指示する。
「君たちは俺と一緒で教える側デショ?見てるだけじゃなくて・・・」
「大王様やっぱスゲーな!ズバッ!って手元にボールきた!
おれもトス上げてほしいです!」
「うんうん!近くで見るとやっぱりすごいね!みんなも今の見た?
大王様すごいでしょー!」
一ノ瀬がみんなに声を掛けると子供たちがうんうん!と大きく首を振った。
「(うぐっ・・・こんなキラキラした瞳で見られたら止められないじゃん)」
どんどん及川のプレーの精度が増していく。
それに伴って周りの歓声も大きくなった。
2階から見ている親たちの歓声も加わって体育館は不思議な空気感に包まれる。
