• テキストサイズ

約束の景色

第40章 最終合宿 2日目  再会の約束


「おぉ~い。そろそろ試合再開するぞ!誰か研磨見たやついる?どこにもいないんだわ」
黒尾がギュッと一か所に集まる音駒の集団に声をかけた。
「黒尾さん!?声小さくしてください!」
シーッ!とリエーフが口元に人差し指をあてて慌てる。
「な、なんだよ・・・?」
自然と声が小さくなる黒尾。
なぜかみんなが穏やかな表情で見守る先に視線をうつす。
「(ノラ猫でもいんのか?)」


「うん、いまの上手だよ。ちゃんと出来てる」
「本当?やった!」
楽しそうにバレーをする一ノ瀬と研磨。
「研磨さんがレシーブ教えてあげてるみたいなんです!」
「もう10分くらい?前からやってるんだ。珍しいからみんなで見守ってる」
「あの研磨が・・・練習に付き合ってる!?」
「ほんと、貴重な光景だよな」
「(疲れるのを嫌う・・極力動かないようにサボる・・あの研磨が!?自主練だと!?)」
夢のような景色を見て黒尾がギュッと目頭を押さえた。
「誰かっ!みなちゃんの荷物を隠せ!ついでにチビちゃんのもだ!
春高まで・・・いや予選まででいい!二人を宮城に返すな!」
「「「あス!」」」


「みなは音駒の一員だからレシーブもっと上手くならないとね?」
「えっ・・・?」
「まずはリエーフを追い抜いてもらわないと。次は翔陽かな?」
研磨くんが楽しそうに笑う。
「私も・・・音駒の一員?」
「え?気にするのそこ?」
だって今ものすごく嬉しいこと言ってくれたよ・・・?
音駒の繋ぐバレー、いつもすごいなって憧れてた。このまま一緒に練習したら私もみんなのレシーブに少し近づけるのかな?
「GW、夏合宿って一緒だったし。
学校は違うけど、もうずっと前からうちの一員だと思ってるけど?」

「「「俺たちもそう思う!」」」

突然聞こえてきた大きな声に研磨くんがボールを取り損ねた。
「研磨!お前良い事言うな!」
「そうそう!もう音駒の一員!」
「一ノ瀬ちゃんの声聞こえてくるとやっぱ気合入るもんな!」
「俺!レシーブ負けないです!」

「いつから見てたの?・・・サイアク」
笑顔のみんなとは対照的に研磨くんがものすごく嫌そうな顔をする。
最近気づいた。こういうときの研磨くんって表情が本当に豊かなこと。
「エヘヘ・・・」
私が笑うとみんなが不思議そうにこっちを見る。
「楽しいですね!」
全員が満面の笑みになった。
/ 336ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp