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約束の景色

第40章 最終合宿 2日目  再会の約束


「みな、どうしたの?」
ボールを持って誰かを探しているのに気づいて声をかけた。
「研磨くん!芝山くんどこにいるか知ってる?」
「芝山・・・」
確かリエーフのレシーブ練習でリベロが付きっきりだった。
あの様子だと当分終わらないだろう。
「当分帰ってこないと思う。何か用事あった?」
「レシーブ教えてくれるって約束してたんだけど・・そっかぁ」
しょんぼりして帰ろうとする後ろ姿がなんか気になって・・・引き止めた。
「おれで良かったら・・・レベル上げする?」


「バレーやるほうが好きなの?」
「最初は日向くんたちのバレー見てるのが好きだったんだけど、みんなのやってるの見てたら面白そうだなって。
そしたらね、西谷先輩が”自分でやるようになったらもっと面白いぞ”ってバレー教えてくれたんだ!
実際やり始めたら、こうやってラリー繋ぐのが好きなのかもって最近思う」
少し難しいパスをするとうまく対応できず失敗した。
「いまのもう一回やって?」とお願いされる。
何度も繰り返す。みなが納得するまで。
「(攻略法、必死に探してるんだ)」
ほんの少しだけヒントをあげて、クリアの手伝いをする。
「あっ!いま出来てた?」
「うん。やったね」
ボールを楽しそうに追いかける姿を見ていたら
音駒の部室に飾られた柴犬のぬいぐるみが、ふと頭に浮かんだ。
「(うん。確かにちょっと似てるかも)」


クスクス笑う研磨くん。なんだか楽しそう。
「研磨くんはバレー好き?」
「うーん・・・・わかんない」
ボールは繋がらなかった。トントントンと弾みながら転がったボールを研磨くんが掴む。
「でも・・・最近思うよ。翔陽たちと練習じゃない試合やってみたいかもって。それは面白そうだなって、ね」
日向くんが聞いたら絶対喜びそうな気がする!


研磨の一言で目の前の一ノ瀬の顔がパァ!っと弾ける笑顔になった。
「(あぁ・・・ちょっとじゃないな。すごく似てるかも)」


「すみません!一ノ瀬ちゃんどこかで見ましたか?」
芝山が駆けてきた。それを海が急いで止める。
「今は大切な時間なんだ。見守ろう」
「?」
あれ見てと言うように向こうを指さす
「!!!」
驚いた芝山の顔を見て海が笑った。
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