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約束の景色

第39章 最終合宿 1日目  託す者・託される者


練習終わり、犬岡くんと会った。
「一ノ瀬ちゃん!今回は烏野側のマネージャーなんだね」
「うん!そっちは潔子先輩だから凄いでしょ?頼もしさ抜群!」
「山本さんがガチガチに緊張してるよ」
二人でクスクス笑う。

「犬岡くんはポジション変わったんだね?」
「うん・・・WSになったんだ」
3年生の海が抜けた後のことも考えてのコンバートだ。合宿中も海にレシーブを教えてもらい必死に練習してる。
それでも悔しさが強い。
結果的にはリエーフにポジションを奪われてのMBから転向だ。
「凄いよ!」
「えっ?」
「だってこの時期なのに。ポジション変わっても、犬岡くんなら出来るってチームから信頼されてる証じゃない?」


隣の一ノ瀬ちゃんがキラキラした瞳でこっちを見る。
翔陽もだけど、一ノ瀬ちゃんも真っすぐで素直だよな。二人のこういうとこ好きだ。
「そう・・かな?」
「そうだよ!誰にでも出来る事じゃないよ!」
うんうん!って力強くうなずく。
励ましてるとかじゃなくて、すごい!って尊敬してくれてるのが伝わってきた。
「犬岡くんのすばしっこさとかすごいもんね」
目の前でシャー!って猫みたいな動きをする。
ブロックしてる俺の真似したのかな?なんか可愛い。
・・・つまんない事気にしてたなって急に思えた。
そうだ!任せてもらえたからには全力でやってやる
「俺やってやる!海さんみたいなWSになって翔陽を止める!」
「おぉ!頼もしい!」

そんな二人のやり取りを遠くから海が見ていた。
「すごいなぁ~」
「ん?なんだ?」
ぼそりと言った海に黒尾が話しかける。
「”なんとかしてあげたい”って意図してなくても、素直な言葉が相手に突きささるってあるんだね。
言った本人は何気ない一言なのに、言われた方はすごく力になってる。俺たちじゃカバーしきれなかった部分をあんなにサッとやってくれて・・。
居る場所は違うけど一ノ瀬ちゃんは音駒の一部になってきてるんだね」
黒尾が海の視線の先を追う。
犬岡が一ノ瀬と並んで日向たちの方へ歩いて行った。

「翔陽!俺も練習混ぜて。影山のトス打ちたい!」
「やろーぜ!」
「じゃあ僕レシーブするよ!」
芝山も練習に混ざる。
「私ボール投げるね!」
それぞれが楽しそうにポジションについていく。
その後、海が1年生メンバーにジュースをおごってあげていた。
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