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約束の景色

第34章 合宿2回目 ご褒美BBQ


「(あれ?)」
返事がないので周りを見渡す。
生川、森然の皆さんが黙ってこちらを見おろしていた。
「(急に現れて”お肉狙ってます!”は図々しかったかな・・。
怒ってる・・?)」
キラキラした瞳でお肉を見つめる一ノ瀬を見て、ハッ!と固まる男たち。

「「「(烏野のマネージャー!?
どうしよう・・・いきなり話しかけられた!)」」」

このチャンス、誰が一番先に挑戦するか?
「あ、あの・・」
「お肉・・」
「これ・・」
何人かが同時に声を出し止まる。視線で牽制しあう男たち。
「「「・・・・・」」」
全員が黙る。
上からの視線に耐えきれなくなり一ノ瀬はそっとこの場所を離れた。
「「「(あぁぁぁぁーーっ!!!)」」」
一ノ瀬がいなくなった場所には肉の焼ける音がむなしく響いた。


先程空っぽになった網に戻りお肉を並べることにした。
「(自分で焼くのが一番確実か)」
「うちの木兎さんがすみません。次は俺がやりますから」
そう言って赤葦さんが手伝ってくれる。
「いえ!私がやります。赤葦さんも食べる方に専念してください」
「それじゃあ、一緒にやりましょう。そっちのほうが早いから」
なんて優しい人なんだろう・・・。
お肉を並べるのは赤葦さんに任せて、私は野菜を並べていく。
「お肉好きなんですか?多めに並べるね」
「先輩に届けたくて。でもまだ野菜しか取れてないんです」
野菜で山盛りになったお皿を見せるとクスクス笑われた。
「先輩マネージャーの為にお肉集めてるんだ?じゃあ沢山持って行って喜ばせてあげよう」

赤葦さんとおしゃべりしながらお肉が焼けるのを待つ。
少しずついい感じの焼き目が付いてきて、辺りに食欲をそそる香りを漂わせる。
「もうそろそろ大丈夫かな?」
赤葦さんのその言葉を待っていたかのように、日向くん、影山くん、リエーフくん、犬岡くん、芝山くんがやってきた。
「いいにおい!一緒に食べていい?」
「え?あ、うん」
「「「いただきまーす!」」」
「あ・・・」
あっという間にお肉は消えた。
「・・・・」
赤葦さんが無言で日向くんたちを見つめる。
早くはしを伸ばさなかった私のせいだ。誰も悪くない・・・。
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