第30章 合宿2回目 ハーゲンダッツ
「先生に怒られて正座とか・・・小学生かよ」
ハァ~とため息をつく黒尾。苦笑いの夜久。
「山本!女の子に慣れてなくて近づけないのは分かるが、避けられてると思って向こうは落ち込んでんだ。女の子傷つけていいのかよ?そろそろ男見せろ!」
そう言って無理矢理立たせた。
痺れた足でヨレヨレしながら一ノ瀬の隣へ近づき、もう一度正座
「す、すんませんでした。せっかく買ってきてくれたのに。
あ、その・・・ゃん。一ノ瀬ちゃん!!アイスいただきます!!」
「あっ、少し溶けちゃったんで冷やしてきます!」
「溶けてるくらいがちょうどいいです!」
真っ赤な顔で手を出す。
どうぞ、と半分くらい溶けてしまったハーゲンダッツをその手に乗せた
「いただきます!」
周りをボコボコとへこませると一気に口に流し込む
「今まで食べたアイスの中で一番美味いっす!!」
「・・・山本さんに嫌われてなくて良かった」
そう言って一ノ瀬が嬉しそうに笑う。
「!!!」
自分だけに向けられた笑顔と言葉に山本はショートした。
その後、真面目に1時間きっちり正座をした。
通りかかる人たちに「何をしているのか?」と聞かれ何度も気まずい思いをしたが、音駒のみんなが最後まで見守っていてくれた。
1時間経ちやっと足を崩す。
もう感覚がないくらい痺れていた。
隣の山本さんはみんなに足をツンツンされ地獄を見ている。
「真面目だな~1時間ちゃんとやって。足は大丈夫か?」
黒尾さんが足をつつこうとするので慌てる。
いじわるそうな笑みを浮かべていた。
「立てるか?そろそろ部屋戻らないと先輩マネが心配してるぞ」
そう言って一ノ瀬を立たせようとするがぐにゃりとなって座り込む。
「ちょっと今は・・・無理そうです・・・」
痺れた足と戦いながら力なく笑った。
「しょうがないな。じゃあ俺が抱っこして・・・」
「じゃあ俺が運びますね」
横からひょいと一ノ瀬をお姫様抱っこするリエーフ
「え?え???待って!待ってリエーフくん!私重たいから!!」
「大丈夫、夜久さんよりも軽いよ。マネージャーの部屋どっち?」
二人はそのまま消えていった。
抱きかかえる体勢を取っていた黒尾と、山本をいじっていた周りのみんなは唖然とする。
マネージャーの部屋では「一ノ瀬ちゃんが王子様に運ばれてきた!」と一晩中からかわれていた
