第27章 自主練
「(相変わらず表情がコロコロ変わる子だな)」
大王様がハンバーグを一切れ口に運んだ。
「真面目だねぇ~」
「それだったら俺らでも教えてあげられると思う。どこが分からないんだ?」
ご飯を食べたあと勉強やバレーの事を教えてもらう。
夏休みの宿題で分からなかったところも丁寧に教えてくれた。
二人とも教え方すごく上手で分かりやすい。
デザートを食べながら大王様たちの小さい頃の話も聞けたのは楽しかった。
「お二人はバレーの事で意見食い違ったりしたことありますか?」
「しょっちゅうだよ!」
「こいつは急すぎるからいつもだ!」
「・・・お互い同じ目標なのにやり方違ってぶつかった場合はどうしてるんですか?」
何か言いかけた大王様がフイって視線をずらす。
「”勝つためにどうしたらいいか?”でぶつかるなんてよくあることだよ。勝ちたい、強くなりたい、負けたくないって気持ちは一緒なんだから。ぶつかるのは喧嘩と違う」
「そうだな、喧嘩とは違う。
もっとよくする為にどうしたらいいか?を言い合ってるだけだ。
”コイツなら俺の考えぶつけても大丈夫”って信頼してないと言えないよ」
「岩ちゃん・・・俺のことそんな風に思っててくれたの・・・?
なんか照れちゃうな」
「お前のことじゃない!」
岩泉さんが眉間にしわよせて大王様を睨んだあと、私のことを真っすぐ見た。
「信頼してるからこそ思い切りぶつかれる」
日向くんは影山くんのこと”相棒”だって言ってた。
だからこそ真っすぐぶつかったんだ。影山くんだってきっとそう。
お互い相手のこと信頼してる。
・・・うん、私が心配しなくてもきっと大丈夫だ。
「私も男の子だったらよかったな~ってたまに思います」
「「えぇっ!?」」
なんで?と二人が不思議そうな顔をする
「そしたらみんなと同じコート立って一緒にバレー出来るのにって。
一緒に戦えるのに~!!って」
レギュラーにはなれないかもだけど、練習だって今よりもっと手伝える!
「はちちゃんとネット挟んで敵同士になるの嫌だよ」
「ものすごくやりづらい・・・」
二人があまりに嫌そうな顔をするので「ただの妄想です」と慌てて訂正した。