第27章 自主練
駅前のお店に入る。
お腹空いているとなんでも美味しそうに見えるから困る・・・
メニューとしばらくにらめっこ。
やっと決まって店員さんに注文した。今日は唐揚げ定食にしよう!
しばらくすると岩泉さんのスマホが鳴った。
画面を見て嫌そうな顔をするとそのままテーブルに置く。
「電話ですか?」
「あ?・・あぁ、うん。でも大丈夫」
急ぎじゃないからというがしばらくしてまた鳴る。
注文も終わったので「気にしないで大丈夫ですよ。出てください」と促すとため息つきながら出た。
「あー」とか「別に」とか「無理」とかそんな言葉を繰り返している。
「お待たせしました。生姜焼き定食のお客様は・・」
「あ、岩泉さん来ましたよ。こっちにお願いします」
するとこちらまで聞こえるくらい大きな声が響いた。
「その声はちちゃん???なんで岩ちゃんと一緒にいるの!!!」
うるさいのにバレたと言いながら、いまどこどこにいるからと説明する。
そこから5分もかからず大王様がやってきた。
「駅前でブラブラして帰るって言ってたから”ごはんでも食べて帰ろう”って誘ってみたら・・・返信ないし、電話でないし!
やっと出たと思ったら歯切れ悪いし!!こーいうことだったんだね!
抜け駆けズルイ!」
自分もご飯を注文した後、岩泉さんに説教する。
しかしそれを聞いてないふりして岩泉さんは頼んだご飯を食べる。
「お二人って仲良いんですね」
「どこが?」
「こんな意地悪な人と仲良くなんてなれないよ!」
口ではそう言っても仲の良さは伝わってくる。
日向くんと影山くんもそうだけど、岩泉さんと大王様も良いコンビなんだな。
「目の前でそんなにニコニコされちゃうと・・・怒りも収まってきちゃうじゃん・・・」
ふぅーと息を吐くと岩泉さんの生姜焼きを一切れ食べた。
「あ゛!」
「これで許してあげる!それで、はちちゃんはどうしてここにいるの?」
運ばれてきたハンバーグを受け取りながら言った。
「図書館行こうと思ってたんです。
選手のみんなが100%の力で戦えるようにサポートしたいと思って色々勉強してるんですけど、まだ知らないことが多くて・・・
あと、最初のうちに少しでも夏休みの宿題を片付けておきたくて」
悔しそうな顔をしたかと思えば照れて笑う。