第27章 自主練
部活は午前中で終わり、午後は各自の自主練時間。
影山くんの練習は武田先生が手伝うと言ってくれたので、お言葉に甘えて私も自主練!
・・・といっても座学だけど。
学校からそのまま駅に向かい隣町へ。
図書室にあるスポーツ関係の本はほとんど読みつくしたので、隣町の図書館に勉強しにいく。
あそこは大きくて本の保管量も多いから。
ついでに夏休みの宿題も合宿前に少し片付けようと思っている。
駅前を同じように部活帰りの学生たちが歩いて行った。
「あれはバレー部かな?ボール持ってるとつい気になっちゃう」
自分もすっかりバレー部の一員なんだな、とニヤニヤしてしまう。
前を見慣れたジャージの人が歩いていた。
「(AOBA・・JO・・SAY?青葉城西!大王様の学校だ!)」
前回会ったのはインハイ決勝。
岩泉さんと大王様はあれから沢山練習しているんだろうな。
フルセットで負けてしまった、次は絶対に勝ちたい相手。
考え事をしていたせいで目の前に自転車が置いてあるのに気づくのが遅れた。
「(しまった!)」
急いで足を止めたが多分間に合わない。倒れるだろうか?痛くありませんように・・ぎゅっと目を瞑る。
「(・・・あれ?)」
痛みもなければ自転車が倒れた音もしない。
「・・・危なかったっ!!ちゃんと前見ろよ!」
バッグを掴んで止めてくれた人がいた。
「すみません。ありがとうございます」
振り向くとそこには岩泉さんが。
「考え事か?何度か声かけたんだが」
「気づきませんでした」
更に「すみません」と謝ると「気にしなくていいよ」と笑った。
「一ノ瀬は目離すとなにするか分からないよな?烏野のやつらも大変だ」
「お恥ずかしいです・・・」
インハイ予選でジャージを引っ張られた事を思い出して恥ずかしくなる。
制服姿なのと大きな荷物を持っていることに岩泉さんが気付く。
「家こっちのほうなのか?」
「違います。今日は図書館に行きたくてこっち来ました。岩泉さんは練習終わりですか?」
「あぁ、今日は午前中でおしまいなんだ。だからこれから帰るとこ」
じーっと顔を見た後に小さな声で質問された
「・・・腹減ってる?」
「お昼ご飯まだ食べてないのでお腹減ってます!」
コクコクとうなずく。
「ちょうど何か食べて帰ろうとしてたとこでさ。良かったら一緒に行こうぜ」
岩泉さんと一緒にご飯を食べることになった。
