第2章 3対3
必死に今までの日向くんを思い出す。
「(日向くんが1番上手く動けてたとき・・・)難しいこと考えないで自由に動き回ってる時かな?」
「考えないで自由に動くってそれバレー?」月島くんがププっと笑う。
「(そうだよね。聞きたいのはこういうことじゃないか)」役に立てずしょんぼりする。
「(”なんかうまいこと”ってなんだ・・・
余計な事考えさせずに自由に動かすにはどうしたらいい・・。
こいつのMAXのスピードとジャンプについていけるやつはいないだろう。自由に動くこいつに合わせて俺がボールを持っていく・・・!
試してみる価値はあるか)」
3人が集まる。影山くんの話を聞いて田中先輩が驚いた顔をする。
何かしようとしてるみたいだけど上手くいかず何度か日向くんの顔面にボールが当たる。
痛そうだなと思っていた次の瞬間、2人の早い攻撃が決まった。
「(なに・・これ?)」それは一瞬の出来事
さっきまでそこにいたはずの日向くんが気づいたら向こう側にいた。飛んだ日向くんの手の先に影山くんのボールが綺麗に吸い込まれていく。
驚いて隣をみると菅原先輩もビックリしていた。
そこから徐々に日向くん達のチームが点差を縮めていく。
途中月島くんは「邪魔だからそっち置いといて」と上着を投げてきた。
試合最初の時と明らかに表情が違っている。
その後、試合は日向くんたちが見事勝利した
「試合後って握手するもんだろ?最初はやらなかったけど・・・。仲良くしてるとこちゃんと見てもらわないと」
澤村先輩のほうを見ながら日向くんが月島くんに手を出す。
「僕たちには関係ないし・・・嫌だよ」
逃げ回る月島くん。ついにすばしっこい日向くんに捕まり握手。その顔が本当に嫌そうで、笑ってしまった。
「笑い事じゃないんだけど・・・」
そう言いながらこちらをジロリと見る
「ご、ごめんなさい・・・」
でもこういう月島くんはなんだか意外で。笑いが止まらない。
「言ってることと顔の表情が合ってないんだけど?」
さらに詰め寄られる。
そこから逃げるように日向くんの方に視線を移す。影山くんと澤村先輩に入部届を提出しているところだった。
そっか、ついにバレー部入れるんだね。良かったね