第2章 3対3
ついに迎えた土曜。3対3当日
体育館をのぞき込むとすぐに日向くんに見つかった。
「一ノ瀬さん!来てくれたんだ!」
大きな声で呼ぶから、他の部員の人たちの視線を一気に感じる。
「(どうしよう。知らな人が沢山いる・・・。)」
中に入りずらいのに気づいた菅原先輩が「こっちおいで」と招き入れてくれた。
日向くんのチームは日向くん、影山くん、2年生の田中先輩。なんだか怖そうな先輩だ。
相手は月島くん、山口くん、3年生の澤村先輩。バレー部のキャプテンらしい。こちらは優しそうな先輩だ。
試合開始。
影山くんがトスを上げる。練習の時から思っていたが彼が触ると綺麗にボールが飛んでいく。
日向くんが打てば月島くんが止める。この人は本当に大きいなって改めて感じた。
なかなかうまく決まらない日向くんの攻撃。でも田中先輩のほうは決まっている。
月島くんは影山くんに「王様のトスやればいいじゃん?仲間を置き去りにするトス」と煽る。
そして影山くんがなぜ王様と呼ばれているのか、教えてくれた。
"自己チューの王様。横暴な独裁者"
この異名は同じ学校のチームメイトがつけたこと。
「(なんでそうだったのかは分かんないけど・・・今もそうなのかな?日向くんと練習している時の影山くんはそんな感じしないけど)」
「でもソレって中学のハナシでしょ?おれにはちゃんとトス上がるから別に関係ない!」
サラリと日向くんが言った。
「(そうだそうだ!頑張れ日向くんたち!)」
点差が少しずつ開いていく・・・。
どうしたら日向くんたちが勝てるのだろう。
「影山ならさ、もっと日向の持ち味っていうか・・才能っていうか・・。そういうのうまいこと使ってやれるんじゃないの!?」菅原先輩が声をかける
むーっと悩み始める影山くん
「一ノ瀬!今までの練習でどんな時が1番こいつがうまく動けてたか分かるか?」
多分お前が一番日向の練習みてるはずだ、とこっちを見る