第2章 それは請い願った帰り花
「ふーん、マッサージ、ですか……。」
考え込むラトを他所に、ある程度マッサージは終えたのかべリアンが立ち上がった。
「これで終わりになります。お疲れさまでした、主様。……さて、ラトくん。私に何かご用でしたか?」
「あぁ、そうでした。ミヤジ先生がベリアンさんを探していましたので、ベリアンさんの声を辿ってきたのでした。」
「なるほど、そうだったのですね。畏まりました。……では、主様行ってまいります。そちらの食器はまた後で片付けに参りますね。」
静かに部屋を後にするべリアンの背中を見送ったが、ふと隣にいるラトも一緒に部屋を出ていくものだと思っていたのだが、そうではないらしい。何か私に用があったのだろうか。
「あれ、ラトは戻らないの?」
「うーん、そう思ったのですが……主様は、この後の予定はあるのですか?」
「え?この後は、特に無いけれど……。」
「おや、それはいい。丁度、主様とお話がしたいと思っていたのですよ。ハウレスさんも丁度皆さんの稽古中ですから、今この時間は私が主様のお世話を致しましょう。」
なるほど。そう言う事か。
勿論、断る理由も今の私にはないので、ラトの誘いを清く受けることにした。話を聞けば、ラトもべリアンの指導をまじめにこなしているようだ。
「ミヤジ先生の頼みですし、それに、私が今度の舞踏会できちんと出来たなら主様も喜んで下さるのですよね?」
「もちろん。かっこいいラトの姿が見られるの、楽しみにしてるよ。」