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one-of-a-kind【aknk】

第1章 それは心からの憂心



少し気まずそうに首をかいたハウレスがチラとベリアンを見ると、少し間を置いて、尚言いにくそうに告げる。
真っすぐな彼の事だ、純粋に感じた事に対し自分なんかが引き継いでいいものかと後ろめたさを感じたのだろう。

そんなハウレスにベリアンは今度こそ、そのいつもの笑顔を崩し口惜しそうに眉を落として見せた。

「……今回は、皆さんのサポートに徹してくれと、ルカスさんに言い聞かされてしまいました。実は、私も少々ごねたのですが、かえって咎められてしまいましてね。」

「ルカスさんが……なるほど、そうなんですね。わかりました。舞踏会までの間、べリアンさんに変わって俺が主様を何があってもお守りいたします。べリアンさんのように完璧、とは言えないでしょうが、俺に出来る限りの事を致しますので、べリアンさんは安心して若い奴らの指導に当たってやってください。」

「フフフ、それは心強いですね。そういってくださるハウレスくんなら、私も安心です。ならばさっそく、主様担当を変わって頂く間の引継ぎをしたいのですが、今お時間宜しいでしょうか?」

珍しくも声を上げたのだというベリアンの言葉に、察しの良い彼はそれ以上追及することも無くこの場では気のいい返事を一つして今後の業務の話に集中しようとした。

頼もしい限りである。
だが、ベリアンは内心、そんなに頑張ってくれなくていいと首を振りそうになるのを咄嗟に耐えた。純粋に業務に対し真摯に向き合う姿勢を見せる彼に、自分は何てことを思っているのだと己を咎めたが、しかしどうしようもないのもまた事実であった。

思わずにはいられぬのだ。
主様の唯一は、私でありたいのだからと。
そんなに、……私以上にあのお方の支えになろうとしないでくれと、その思いは執事として有るまじき思考だとベリアンは理解しつつも、一度生まれてしまった感情が消えることは無かった。
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