第2章 入学
入学式の後は広い学内を案内された。
普段自由にしている五条先生と夏油先生が保護者として一緒に回ってくれてる。夜蛾学長は2人の担任だったらしく、頭が上がらないらしい。
方向音痴な私は、広過ぎて場所が覚えられない。同じような古い建物があって大混乱だった。とりあえず、移動の時は恵くんについていくことにしよう。そんな私の様子を見て、みんなで揶揄ってくる。
傑「やっぱり迷いそうかい?楓はそこだけが欠点だよね」
悟「そうそう。極度の方向音痴。昨日も学内で迷っててさぁ。寮の前まで連れてったんだよね。恵、授業に遅れないように頼むよ」
恵「わかってますよ。楓は奇跡的に違う場所に辿り着くことくらい知ってます。長年の付き合いなんで。」
傑「恵、しっかり頼むね。それで…悟と2人きりになったということで間違いないか?」
一気に冷える空気。
なんで言っちゃうかなぁ…
悟「えぇ〜人助けじゃん♪もう高校生なんだしさぁ〜2人きりになるなって言う方が無理あるでしょ?それに婚約…」
傑「許していないからなっ!」
夜「いい加減にしないか、お前たち!まったく成長しないな。」
わいわいしながら学内を巡り、教室に戻って来た。
ドアの前にパンダがいる。
え?なんで?
パ「ようこそ高専へ!」
しかも喋ってる?!なに?これは?
着ぐるみ?
パンダと見つめ合ったまま、動けずにいる。
するとパンダの後ろから
棘「しゃけ?」
と、口元は隠しているけどとても顔の整っている人が出て来た。
え?しゃけ?
どーゆー意味?
チラリと恵くんを見ると、同じく固まっている。
…どうしよう…
悟「さぁ僕の1年生!教室に入って?2年生を紹介するよ!」
2年生?!傑さんのクラスの?
個性的すぎる…
傑さんは家で仕事の話をあまりしない。担任を持った時には“面白い子たちだよ”と言っていたのは聞いた。だけどパンダがいるとは思っていなかった。
傑「まずは1年生、自己紹介してくれるかな?その後に2年生だ。」
どっちが先にする?と恵くんとアイコンタクトをする。
ぜひ恵くんに最初の挨拶をお願いしたいとこだけど…私の思いに気がついてくれて、ため息をついてから自己紹介をした。
恵「…伏黒恵。よろしくお願いします。」
悟「えぇっ!それだけ?!僕との関係とかさぁ〜色々あるじゃん♡」