第1章 プロローグ
部屋に戻ってお水を飲む。
毎日ランニングをしているから、ウォーキングだと物足りない気がしてしまう。明日は早く起きて走ってこようかな。迷子にならない程度に。
シャワーを浴びて就寝準備をする。普通の寮と違って、消灯の時間が決まってないのがありがたい。呪術師は任務で帰宅が遅くなってしまうことがあるかららしい。それは学生も然り。
今日は寝よう。明日からまた強くなるための努力をしよう。女の子だから守られる存在になんてなりたくない。
次の日、朝のランニングをしてシャワーを浴びて授業の準備をするまでにどれくらいの時間がかかるのかを測って、授業が始まっても大丈夫なように準備した。
足りないものを買い足して帰ってくると、ちょうど恵くんに会った。大きく手を振ると、控えめに手を上げてくれた。
『今日引越しだって五条先生から聞いてたんだ!これからもよろしくね?』
恵「あぁ、よろしく。もう1人はまだらしいな。」
そんな会話をしながら高専内を歩く。
『そういえば制服どんなのにしたの?』
今までの学校はブレザーだった。私も同じくブレザーだったから、今回の制服は新鮮だった。けど、カスタマイズできるっていうからスリットを入れてもらった。もちろん中にも履くけど。動きやすいように。万が一スカートが引っかかって呪霊にやられでもしたら、成仏できそうにない。
恵「別に普通。」
短い会話。
でも返事をしてくれるだけマシなことは長年の付き合いでわかっている。気に入らない人の話は無視したりもする。好き嫌いがはっきりしてるんだよね。
『そっか。見るの楽しみにしとく。引越しの片付け手伝う?』
恵「…手伝いはいらない。夕飯作っといて。」
今までもつみきちゃんやななちゃん、みみちゃんと協力して家事をしてきた。つみきちゃんのためにも強くなりたい。私と恵くんが呪術師になることを決めた時、ななちゃんとみみちゃんが“つみきのことは任せて”と言ってくれた。私たちは血は繋がっていないけど、家族以上の絆がある。
『わかった。用意しとくね!』