第2章 入学
夏油side
これまで通り悟と2人きりになることがないよう伝えると、いつものように不貞腐れる楓。
その気がないのは君だけなんだ。
気持ちを切り替えるために、恵と真希の元へ向かう。
少年のまま大人になったような悟が、恵の負けた姿を写真に撮っている。
やはり私たちの可愛い楓を任せるのは無理だ。
この後は、硝子に会うため医務室へ行くらしい。私は2年の教室で歓迎会の準備をする。医務室へ行くと聞くと、とても嬉しそうにしていた。
頼れるお姉さんなんだと嬉しそうに話していたことを思い出す。楓は硝子に憧れていて、医学も勉強していた。というのも口実で、硝子に会いたいだけだったのではないだろうか。硝子も硝子で頼られると嬉しいのか、楓をものすごく可愛がっている。
2年の教室で準備をしている間に憂太から連絡が入った。
傑「もうすぐ憂太が到着するって。」
特級らしくなってきたところで任務が劇的に増えた憂太は、嫌がらずに任務に行く貴重な存在だ。悟や私が行く時には、必ず文句を言うからね。
わいわいと歓迎会をしていると、ガラガラと大きな音を立ててドアが開き、憂太が帰ってきた。
お疲れ様と声をかけようとして、誰かの息を呑む音が聞こえてそちらを見て驚愕した。
楓が頬を染めて目を見開いている。
これはまずいな…
まさか…一目惚れか?
『あっあの!私、楓です。よろしくお願いします。』
楓の好みのタイプは憂太だったのか。
真逆の恵には靡かないわけだ。
悟「憂太、僕の楓に手を出さないでね?」
なんだ。悟も気がついたのか。
君も諦めて欲しいところなんだが。
硝「で、どうすんだ?夏油。楓が…」
傑「それ以上言うな。私だって娘の成長に戸惑っているんだ。」
硝「娘ねぇ…ふふっお前、顔が怖ぇよ」