第2章 入学
真希先輩についてグラウンドへ行った。
悟「さぁ準備体操が終わったらすぐに始まるよ〜!対戦相手はくじで決めまーす!」
それぞれに準備体操をする。
私のルーティーンは瞑想をしてから集中力を高めるようにしているので、直前にその時間を取りたい。
みんなで一斉に引くタイプのくじ引きで、
恵くんvs狗巻先輩
私vsパンダ先輩
真希先輩は2試合目で恵くんと対戦することになった。
入学式のこれは、毎年恒例らしい。ただ単に1年の実力を見るためのイベントだろう。
でも、負けたくない。
相手が可愛いパンダだろうと!
まずは恵くんの試合。
狗巻先輩はどんな術式を使うんだろう?
傑さんが私の隣にきて、解説してくれる。
傑「呪力のコントロールはできるようになったよね?耳を呪力で守ることはできるかい?」
どーゆーことだろう?
集中して、耳に呪力を集める。
悟「じゃ、よーいスタート!」
恵くんが手を組もうと動くと同時に
棘「動くな」
ただ一言叫んだだけ。
恵くんがフリーズしてしまった。
『え?なんで?』
恵くんの強さはよく知ってる。負けるとこなんてほとんど見たことがない。見たことあるとすれば、傑さんと悟さんに稽古と称してコテンパンにされるところだけ。
それなのに…
狗巻先輩はポケットから油性ペンを取り出して、動けないでいる恵くんのほっぺに“負け”と書かれて勝負がついた。
普通に負けるよりも屈辱的なほっぺの印に、とても悔しそうな恵くん。私が仇を打つ!!
『す…夏油先生。今のは何ですか?』
傑「彼は呪言師といって、言葉にしたことがそのまま起こるんだ。ただ、自分よりも格上だとダメージもある。恵はある程度強いからね、棘にもダメージはあるはずだよ?」
呪言師…だから語彙を絞って話しているのか。でも2年生はコミュニケーション取れてるみたいだったなぁ。
連携を取る上で重要なこと。
棘「…ごんぶ」
声掠れてる。喉にダメージがあるんだ…
色んな術式があるんだな。傑さんや悟さんが身近にいて、つい彼ら最強と比べてしまうけど、世の中にはもっとすごい術式があるのかも知れない。
術式を言おうとした時、止めてくれてよかった。
絶対勝つ。
パンダ先輩に。