第2章 番外編 オレが君を好きになった瞬間
「何かあったんだね。」
「うん、」
優しい口調。
それは今は亡き母さんを思い出す様な...
殆ど覚えて無いけど...
けど、何処か似てる。優しい雰囲気
「ほら...」
「?」
女の子はオレに手を差し出した
「ずっと座り込んだらしんどいよ。早く立ちな」
そう言えばオレ...尻餅してずっとしてる。まあ、その原因を作ったのは目の前の女の子で...
だがオレは差し出してくれた手を素直に握り、ゆっくりと立たしてくれた
オレなんかより小さくて柔らかい手
でも、何処が芯の通った...強い手
そんな事を思っていると先程のなんとも言えない高揚感が、再度オレを包み上げた。
そして女の子の方から優しく手が解かれる
もっと繋いでいたい...
そんな事がちらついてしまった脳内を、必死に払った
「夜も遅い。家に帰った方がいいよ」
「いや...まだ、帰りたく無い」
だって父さんと喧嘩したから...
「そうか。なら私に付き合って」
「え?」
「私も家に......帰り辛いが...正しいか...。
帰れないんだ」
「何で?」
「餓鬼が聞くな。大人の事情だ...
耳が良すぎるのも困るもんだよ。ほんとに...」
「なにそれ?変なの」
「取り敢えず私も暇なんだ。一緒に居てよ餓鬼」
「!だからオレは餓鬼じゃない!
オレは...
カカシ!
はたけカカシ!」
一瞬直った餓鬼呼びが再び連呼されたのが、気に食わず相手に名前を教えた
「カカシ」
「!」
ドキッとした
これは...ヤバい
名前呼ばれただけで...
また...いや、更に高揚感がオレを包む