第1章 紫の陽だまりを見た日
思わぬ言葉に、私の口から変な声が出てしまった。
みるみると体が熱くなるのを感じながら、ぼんさんからの言葉が真意なのかどうか確かめたくてその目から逸らせなくなっていた。ぼんさんは最初こそじっと見つめ返してくれていたが、だんだん恥ずかしがるように目が泳ぎ、横を向いてしまった。私もそこで自分を制して姿勢を正す。
「あの、ごめんなさい。ちょっと、びっくりして……」
私は顔を両手で覆った。顔はやはり熱かった。冷ました方がいいだろうが、こんな変な顔、ぼんさんには見せられない。
「ごめんね、びっくりさせちゃって」何も謝ることなんてないのに、ぼんさんはそう言って私から距離をかなり離してソファに座った。「困らせたくはなかったんだけどねぇ……あの話聞いた時、安堵した俺がいてさ」
それは、私に彼氏がいた時から好意を抱いていた、という意味を示していた。私はますます複雑な心境に苛まれた。
「ってことは、いつから……」
辛うじて声を絞れば、実は初めて会った時からと答えるものだから私は驚いた。一目惚れだったと。
「でもさ、年齢差とかあるし、仕事とか、色々考えたら言わない方がいいかと思って」
そしたら、MENに「あの人、絶対ぼんさんのことが好きですよ」と背中を押されていつか会えた時に言おうと思っていたらしい。パソコンがフリーズしてよかったわ、なんて半笑いを混ぜながら。