第1章 紫の陽だまりを見た日
「この前、MENの家に行ったって聞いたんだけど」
「え……」なぜそんな話をしたのか分からないまま、私は答えようとした。「バグの修正をしに行ったんです。ソフト開発者の人が微熱で出勤出来なくて……」
「それは、聞いたんだよね」
ぼんさんは私を見つめたまま一切動かなかった。私はソファに座っていたのだが、ぼんさんは床に座っているので自然と見下ろす形になってしまう。
「MENが意味ありげなこと聞いてくるんだよね。例えば……最近女性のこと口説いたのかとか」
「えっと……なんの話を……?」
ぼんさんが言わんとしてることが分からなくて私は問いかけた。だけど心の奥では何かに気付こうとして心臓がうるさい。私今、平然とした顔しているのかな。
「本当はさ、言わないことにしようと思ってたんだけど……俺の勘違いだったら恥ずかしいし」とぼんさんは話続ける。「でも、ここは漢らしく俺から言わなきゃって思ってさ」
「あの……」
「俺、ゆめちゃんのこと好き……なんだよね」
「へ……」